翻訳|tunic
古代ギリシア,ローマから中世を通して着用された下着,表着,外衣などのさまざまな種類の衣服をいう。ラテン語のトゥニカに由来し,元来は一枚の布の真ん中に穴をあけて頭からかぶり,前後に垂れた布を腰でひも結びして着たいわゆる貫頭衣で,人類の衣服の原初的な形態の一種であった。その後,ギリシアのキトンのように布を体に巻きつけた上に肩をブローチで留めたり,ローマのトゥニカのように布に穴をあけてかぶり,腋下を縫いふさいだような形に発展した。中世以降,コットやシュミーズ,ダルマティカ,ガウン,コートなどの名称のもとに部分的に変化し,今日のような衣服に発達した。キリスト教の聖職者の祭服にもとり入れられ,また現在も軍服や制服の上衣をも指していう。現代の女性用の衣服では,長めの上衣にスカートやパンツを組み合わせたチュニック・スーツとして親しまれている。
執筆者:池田 孝江
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時代や国により多様な概念で広義に用いられる。(1)一般にほっそりした筒形のシルエットで、腰から膝(ひざ)あたりまでの丈、つまり3/4丈の衣服のこと。袖(そで)なしの場合も、袖のある場合もあるが、全体に単純な形で装飾的傾向の少ないことが多い。(2)歴史的には、古代ギリシアのキトン、古代ローマのトゥニカ、中世ヨーロッパのブリオーやコットなど、表着一般のこと。(3)軍服として略式の丈の長い上着の意。(4)宗教服に残るダルマティカの類をいう。
語源はラテン語のトゥニカで、本来、下着、皮(膜)、殻などの意であった。今日の婦人服では、チュニック・ドレスtunic dress、チュニック・コートtunic coat、チュニック・スーツtunic suitなどの名でよばれることが多い。
[菅生ふさ代]
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…身体装飾装身具服制服装【鍵谷 明子】
[衣服の形式]
衣服の形は人体,風土,民族の生活,材料,性に影響されて多様なものが生まれてきた。しかし,基本的形態としては,紐衣(ちゆうい)型(リガチュアligature),巻き衣型(ドレーパリーdrapery),貫頭衣型(チュニックtunic),前開き型,腰衣(ようい)型(ロインクロスloin‐cloth),ズボン型などが見られる。紐衣型は獣皮衣と共に,人類の原始衣の形の一つで,旧石器時代のビーナス像や,古代エジプトの奴隷の腰部に紐状のものを巻きつけたものが見られ,腰衣型とも関連している。…
※「チュニック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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