江戸時代の年貢(ねんぐ)率を表現したことばで、収穫米の5割を年貢(本途物成(ほんとものなり))として上納し、残り5割を農民の作徳米(さくとくまい)とすること。大石久敬(ひさたか)の『地方凡例録(じかたはんれいろく)』によると、享保(きょうほう)年間(1716~36)までは四公六民で、以後は検見(けみ)法の実施による五公五民になったとされるが確かではない。実際の年貢率は、地味(ちみ)・作柄や地方によって異なっていた。農民の手元に残る作徳米は、再生産の費用と余剰分とからなるが、領主は余剰分をできるだけ搾取するのが原則で、徳川家康は「百姓共をば、死(しな)ぬ様に生(いき)ぬ様にと合点(がてん)致し収納申付(もうしつく)る様」(大道寺友山(だいどうじゆうざん)著『落穂集(おちぼしゅう)』)にといったと伝えられる。本途物成以外に付加税も課せられたから、五公五民では農民の生活はかなり苦しく、『豊年税書』によると、田畑1町(約1ヘクタール)を経営する5人家族の場合、四公六民でも年1石5斗の不足となり、三公七民でかろうじて生活が成り立つとしている。したがって、重税に苦しむ農民は隠田(おんでん)や逃散(ちょうさん)、さらには年貢減免を要求する一揆(いっき)を起こすこともあった。
[馬場 章]
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