児童の権利に関する条約(読み)じどうのけんりにかんするじょうやく

百科事典マイペディア 「児童の権利に関する条約」の意味・わかりやすい解説

児童の権利に関する条約【じどうのけんりにかんするじょうやく】

1959年に国連国際連合)で採択された〈児童権利に関する宣言〉(国連総会決議1386(XIV))の30周年にあたる1989年10月に国連総会で全会一致で採択された国際条約。1990年に発効日本は1990年9月に署名,1994年4月に批准した。18歳未満のすべての人の保護と基本的人権尊重を促進することを目的とする。この条約は,今なお世界中に貧困,飢餓,武力紛争虐待,性的搾取といった困難な状況におかれている児童がいるという現実に目を向け,児童の権利を国際的に保障,促進するため,国連人権委員会の下に設置された作業部会において,多くの国連加盟国政府,国連機関等が参加し,10年間にわたって行われた審議の成果である。条約は,児童を〈保護の対象〉としてではなく,〈権利の主体〉としている点に特色がある。国際人権規約のA規約(文化権,経済権,社会権規約)及びB規約(自由権規約)で認められている諸権利を児童について広範に規定し,さらに意見表明権や遊び・余暇の権利など,この条約独自の条項を加え,児童の人権尊重や権利の確保に向けた詳細で具体的な事項を規定している。2013年10月現在,締約国・地域の数は193ヵ国・地域である。未締約国はソマリアアメリカである(両国とも署名はしている)。日本では〈子どもの権利条約〉とも称される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「児童の権利に関する条約」の意味・わかりやすい解説

児童の権利に関する条約
じどうのけんりにかんするじょうやく
Convention on the Rights of the Child

18歳未満の子供の権利について定めた国際条約。「児童の権利条約」「子どもの権利条約」などとも呼ばれる。1989年11月20日,第44回国連総会で採択,翌 1990年発効。前文と 3部(54条)からなり,子供に意見表明権や思想の自由など幅広い権利を認めている。(1) 生命・生存への権利,(2) 親・家族にかかわる子供の権利,(3) 意見表明権,市民的権利,(4) 特別な状況下にある子供の保護,(5) 教育への権利,文化への権利などが示され,貧富を問わず,すべての国の子供の保護と取り扱いの重要な判断の基準になるものである。子供に対する認識を,保護の対象から権利行使の主体へと転換させた点が大きな特徴。日本は 1994年に批准。2016年現在,署名国・地域数は 140,締約国・地域数は 196。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「児童の権利に関する条約」の意味・わかりやすい解説

児童の権利に関する条約
じどうのけんりにかんするじょうやく
Convention on the Rights of the Child

「子どもの権利条約」の政府訳。批准時、「child」を「児童」と訳すか「子ども」と訳すかで議論となったが、政府訳には「児童」が採用された。

[編集部]

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改訂新版 世界大百科事典 「児童の権利に関する条約」の意味・わかりやすい解説

児童の権利に関する条約 (じどうのけんりにかんするじょうやく)

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世界大百科事典(旧版)内の児童の権利に関する条約の言及

【子どもの権利条約】より

…日本は94年4月批准,5月22日に発効。公定訳では〈児童の権利に関する条約〉という。アメリカ(署名済),ソマリアを除く191ヵ国が承認(1997年現在),地球をおおう子どもの憲法(マグナカルタ)ともいわれる。…

※「児童の権利に関する条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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