なお「日本書紀」垂仁天皇三年三月条が引く一書によると八種の神宝(葉細の珠、足高の珠、鵜鹿鹿の赤石の珠、出石の刀子、出石の槍、日鏡、熊の神籬、胆狭浅の大刀、ただし「日本書紀」本文では羽太の玉、足高の玉、鵜鹿鹿の赤石の玉、出石の小刀、出石の桙、日鏡、熊の神籬の七種とし、「古事記」の所伝では珠二貫、浪振る比礼、浪切る比礼などの八種とする)を携えて渡来した天日槍は垂仁天皇から播磨国と淡路国の各一村を与えられたが固辞し、諸国を遍歴してのち但馬を永住の地と定め、出石(出嶋)の人太耳の娘麻多烏を娶って但馬諸助を生み、諸助の子孫は日楢杵・清彦・田道間守と続いたという。また同八八年七月条には天日槍将来の神宝を欲した垂仁天皇が清彦に命じてこれを献上させたが、出石小刀だけは霊力を発して消え失せ、のち淡路島で発見されたので島人が祠を建てて祀ったとの説話を載せる。永万元年(一一六五)六月日の神祇官諸社年貢注文(永万文書)に「伊豆志社」とみえ、布五〇端を課せられていた。
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兵庫県豊岡市に鎮座。天日槍(あめのひぼこ)命,出石八前大神をまつる。《日本書紀》垂仁天皇の条,また《播磨国風土記》宍禾(しさわ)郡の条には,新羅の王子天日槍命が神宝を持って播磨国に来たとき,詔により播磨国宍粟(しさわ)邑,淡路島出浅(いであさ)邑を賜ったが,さらに住むところを賜りたいとして,近江,若狭などを回り,但馬に行き,そこを住む所としたことが記されているが,その持ち来たった神宝八種(八前大神)をまつったのが本社の起源。874年(貞観16)正五位上に叙せられ,延喜の制で名神大社,のち但馬国の一宮とされ,江戸時代出石藩主仙石氏によりよく保護された。旧国幣中社。例祭10月20日。
執筆者:鎌田 純一
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兵庫県豊岡(とよおか)市出石町宮内(いずしちょうみやうち)に鎮座。祭神は天日槍命(あめのひぼこのみこと)、出石八前大神(やくさのおおかみ)。社伝によると、垂仁(すいにん)天皇のとき天日槍命が来朝して当地を開拓したので、その徳を敬慕し、命が奉持していた八種(やぐさ)の神宝を八前大神として祀(まつ)ったとされている。『延喜式(えんぎしき)』では名神(みょうじん)大社。但馬(たじま)国一宮として崇敬され、1871年(明治4)官幣中社に列格した。例祭は10月20日。11月22、23日には御年花(おはなびら)祭が行われる。社宝に国の重要文化財指定の脇差(わきざし)1振があり、境内に禁足地が残されている。
[吉井貞俊]
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