利益準備金(読み)リエキジュンビキン

デジタル大辞泉 「利益準備金」の意味・読み・例文・類語

りえき‐じゅんびきん【利益準備金】

株式会社における法定準備金の一。貸借対照表では「純資産の部」を構成する株主資本うち利益余剰金の区分一つ

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精選版 日本国語大辞典 「利益準備金」の意味・読み・例文・類語

りえき‐じゅんびきん【利益準備金】

  1. 〘 名詞 〙 安定した企業経営を維持するために法律で強制されている準備金決算期で特に利益配当額の一〇分の一以上を、会社資本金四分の一に達するまで積み立てるもの。→資本準備金

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「利益準備金」の意味・わかりやすい解説

利益準備金
りえきじゅんびきん

会社法が、会社に積み立てることを強制する準備金(会社法445条)。資本準備金とともに法定準備金とよばれる。

 利益準備金は、資本準備金の額とあわせて資本金の4分の1に達するまで、剰余金の配当により減少する剰余金の額(配当金として支払う額)の10分の1を積み立てる必要がある。なお、剰余金の配当がその他資本剰余金からの配当である場合には、資本準備金を積み立てる。

 利益準備金は、減少させることができるが、この場合、その他利益剰余金を増加させねばならない(会社計算規則51条・52条)。

 会社法が果実である利益の一部を強制的に積み立てさせるのは、資本を積極的に維持させることで債権者保護を強化するためである。

[万代勝信]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「利益準備金」の意味・わかりやすい解説

利益準備金
りえきじゅんびきん
earned surplus revenue

法律の規定により貸借対照表上の純資産の部に計上することを要する計算上の金額。資本準備金とともに準備金と総称される(会社法445条4項)。純資産の部のうち,利益剰余金にかかる項目は利益準備金とその他利益剰余金に区分され(会社計算規則76条5項),利益準備金は資本金とともに株主に対する分配可能額を算出する際の控除項目となる(会社法446条1号)。会社財産の健全な維持をはかることを目的として,準備金が資本金の 4分の1に達するまでは,その他利益剰余金を原資とする配当金額の 10分の1を資本準備金または利益準備金として積み立てなければならない(445条4項)。そのほか,利益準備金は,合併などの組織再編行為において引き継ぐ場合や,剰余金から組み入れる場合に増加する。

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百科事典マイペディア 「利益準備金」の意味・わかりやすい解説

利益準備金【りえきじゅんびきん】

会社法に定められた法定準備金一種で,他に資本金資本準備金剰余金とからなる。利益準備金は法定の留保利益で財源として積み立てる準備金である。企業は,剰余金の配当をする場合には,配当により減少する剰余金の額の10分の1を資本準備金または利益準備金として積み立てなければならない。この措置は債権者を保護するためである。

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株式公開用語辞典 「利益準備金」の解説

利益準備金

法定準備金の一つ。企業は、資本準備金と合わせて、資本金の4分の1に達するまで、利益準備金を積み立てなければならない。そして資本の4分の1を超えると、株主総会の決議により、利益準備金は利益剰余金にすることができる。利益剰余金積み立て範囲としては、
1. 決算期毎に配当金や役員賞与金のような社外流出金を10分の1以上
2. 中間配当金の10分の1
である。

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世界大百科事典(旧版)内の利益準備金の言及

【資本】より

…したがって,企業会計上の資本概念も,今日では資産,負債の各概念とともに,このような考え方のもとで規定されなければならなくなったわけである。 株式会社が作成する貸借対照表の資本の部には,現行の会計諸則のもとでは,大別して,(1)資本金,(2)資本準備金,(3)利益準備金,(4)剰余金,の四つの項目が記載されるのが通例である。これらのうち,(1)の資本金は原則として株主が拠出した株式資本金から構成され,(2)の資本準備金も株主が拠出した株式払込剰余金を主要な構成要素としているので,これら二つの項目は合わせて株主の拠出資本とみても大過ない。…

【準備金】より

… 法定準備金は,資本の欠損塡補の目的をもって法律が積立てを命ずる準備金であり,商法が準備金というときは,法定準備金をさす。法定準備金は,その財源により資本準備金と利益準備金に分けられる。資本準備金は,株主の出資の一部または資本に準ずべき性質の剰余金であり,会計理論上の資本剰余金とは必ずしも一致するものではない。…

※「利益準備金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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