啓蟄(読み)ケイチツ

精選版 日本国語大辞典 「啓蟄」の意味・読み・例文・類語

けい‐ちつ【啓蟄・驚蟄】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ちつ」は「蟄(ちゅう)」の慣用読み )
  2. 冬ごもりの虫が地中からはい出ること。また、その虫。蟄虫。
    1. [初出の実例]「啓蟄を啣(くわ)へて雀飛びにけり」(出典:川端茅舎句集(1934))
  3. 二十四気の一つ。陰暦二月の節気。太陽暦の三月五日頃にあたる。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「撃閉諸門〈略〉起雨水十日、至驚蟄二日」(出典:延喜式(927)一六)
    2. 「蜥蜴以下啓蟄の虫くさぐさなり」(出典:五百句(1937)〈高浜虚子〉昭和六年)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐桓公五年〕
  4. ( から転じて ) 世に認められること。〔文明本節用集(室町中)〕

啓蟄の補助注記

この語が季語として用い始められたのは、近代俳句、とりわけ虚子以降のことである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「啓蟄」の意味・わかりやすい解説

啓蟄
けいちつ

中国や日本の太陰太陽暦で用いる二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、二月節である。冬ごもりをしていた虫が気候が暖かくなって外に出てくる時期という意である。太陽の視黄経が345度に達するときで、太陽暦の3月6日ころにあたる。

[渡辺敏夫]

気象

このころ初雷(はつかみなり)が鳴り、これを聞いて虫が土中からはい出すと考えたので、これを「虫出しの雷」ということもある。「余寒いまだ尽きず」といった天候の季節にあたり、年によっては南国でも一時、雪になったりする。しかし春の彼岸も近いので、日の長くなり方も急であり、すでに光の春の季節は始まっているとみることができる。

根本順吉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「啓蟄」の意味・わかりやすい解説

啓蟄
けいちつ

二十四節気の一つ。太陰太陽暦の2月節 (2月の前半) のことで,太陽の黄経が 345°に達した日 (太陽暦の3月5日または6日) に始り,春分 (3月 20日または 21日) の前日までの約 15日間であるが,現行暦ではこの期間の第1日目をいう。啓蟄の語源は,蟄虫啓戸 (地中にひそんでいた虫が戸を啓いて地上にはい出るという意味) に由来し,昔中国ではこの期間をさらに5日を一候とする三候に区分した。

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普及版 字通 「啓蟄」の読み・字形・画数・意味

【啓蟄】けいちつ

二十四節気の一。地虫冬眠よりさめる。〔左伝、桓五年〕そ祀は、蟄にして郊(祭)し、~閉蟄(へいちつ)にして烝(祭)す。

字通「啓」の項目を見る

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日本文化いろは事典 「啓蟄」の解説

啓蟄

3月6日頃 啓蟄とは、土の中で縮こまっていた虫(蟄)が穴を開いて(啓いて)動き出す日のことです。具体的には、日本人が「さぁ働くぞ」と意気込み始める日のことを言います。この時期は、一雨降るごとに気温があがってゆき、春に近づいていきます。日差しも徐々に暖かくなってきます。

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