地蔵盆(読み)ジゾウボン

デジタル大辞泉 「地蔵盆」の意味・読み・例文・類語

じぞう‐ぼん〔ヂザウ‐〕【地蔵盆】

主に京都などで、8月23日・24日(古くは陰暦7月24日)に行われる行事石地蔵にお飾りをしてまつり、さまざまの余興を行う。地蔵祭り地蔵会じぞうえ 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「地蔵盆」の意味・読み・例文・類語

じぞう‐ぼんヂザウ‥【地蔵盆】

  1. 〘 名詞 〙 京都で、八月二二日から二四日まで(古くは七月)行なわれる行事。各町内の石地蔵を当番の家に移し、あるいは祠(ほこら)の前にテント床几を設け、灯籠供物などのお飾りをしてこれをまつり、さまざまの余興を行なう。大阪にも同様な風習がある。地蔵祭。地蔵会。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「ただに見し家蔭の石や地蔵盆」(出典:妻木(1904‐06)〈松瀬青々〉秋)
    2. 「家族は八月の地蔵盆を済ましてから、廿九日の日曜の夜行で上京する」(出典:細雪(1943‐48)〈谷崎潤一郎〉上)

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改訂新版 世界大百科事典 「地蔵盆」の意味・わかりやすい解説

地蔵盆 (じぞうぼん)

8月23,24日に行われる地蔵をまつる行事のこと。京都を中心とする近畿地方で子どもによって行われている。地蔵が子どもと関係が深い仏だからという。福井県小浜ではどの堂にも賽銭箱が用意されていて,おとなが近づいて行くと〈参ってんのう,参ってんのう〉と参拝をせがまれるという。ことに日本海側では地蔵を絵具などできれいに化粧するところが多い。

 毎月の24日が地蔵の縁日であるということは,平安時代中期以来みられる。室町時代半ばころ,旧暦7月24日に京都への入口にある六地蔵めぐりが廻地蔵といわれて盛んになってきた。江戸時代末期の随筆《雲錦随筆》に〈御菩薩が池は幡枝(はたえだ)村の南にあり,平相国清盛の代,西光法師が建営なりとぞ,山城六地蔵の其一也,7月23,24日地蔵巡りの老若群参して賑はし,六斎念仏ことごとく来りて,手向を勤む〉と見えている。ここに見える幡枝の廻地蔵の風習から旧暦7月24日が地蔵盆になったのである。曲亭馬琴は《羇旅漫録》享和2年(1802)7月22日の項に地蔵盆の盛んなさまを書きのこしている。〈京の町々地蔵祭あり,一町一組年寄の家幕を張り,地蔵尊を安置し,いろいろ備へ物をかざり,前には灯明挑灯を出し,家の前には手すりをつけ,仏壇の前に通夜して酒もりあそべり,伏見辺,大坂にいたりて,またこれに同じ〉。

 また,地蔵盆は愛宕(あたご)の祭りでもあった。愛宕の本地が地蔵であるためである。兵庫県出石郡では旧暦7月24日に村の辻辻のお地蔵さんにだんご,花をもって参る。一方,この日を愛宕地蔵の日といい,念仏があげられる。家々では竹の先に麦わらをつけ,それに火をつけてお供えしたり,肥松を割って燃やしてまつったりして,愛宕火があげられるのである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地蔵盆」の意味・わかりやすい解説

地蔵盆
じぞうぼん

地蔵を中心とする主として8月(旧暦では7月)24日の行事。西日本、とくに近畿地方で盛んに行われる。寺や地域で祀(まつ)る地蔵尊に飾り付けをしたり供え物をし、そこで子供たちが遊んだり、年寄りたちが御詠歌をあげたり、盆踊りをしたりする所が多い。火祭も広く行われ、これを愛宕(あたご)信仰と関連づける考えもあるが、この日を送り盆、アトボンとしている所の多いことから、盆の送り火とみることもできる。

[田中宣一]


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百科事典マイペディア 「地蔵盆」の意味・わかりやすい解説

地蔵盆【じぞうぼん】

地蔵信仰から生まれた行事。京都では六地蔵を巡礼する六地蔵巡りとして8月23・24日に行われる。もとは旧暦7月24日,地蔵の縁日の行事で,盆祭の終りの日であったため地蔵盆と呼ばれるようになったという。この日子どもたちは石地蔵に香花などをたむける。

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