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平安末期の歌学書。著者は藤原清輔(きよすけ)。1124年(天治1)から44年(天養1)の間の成立か。初め崇徳(すとく)天皇に奉り、その後追補して二条天皇に奉ったと伝える。清輔の追補は4次にわたったらしいことが、伝来写本の内容の相違によって知られる。いま第三次本の内容を概観すると、3巻よりなり、序文に次ぐ上巻は「式」と題して、六義(りくぎ)、六体、三種体、八品(はっぽん)、隠題(かくしだい)、四病、七病、八病、避病事(やまいをさくること)、詞病事(ことばのやまいのこと)、秀歌体、九品(くぼん)、十体、盗古歌、物異名(もののいみょう)、古歌詞、所名など歌学の25条の項目について述べて貴重である。中・下巻は「釈」として『後拾遺集』『拾遺集』『後撰(ごせん)集』、『古歌』(万葉集)、『古今集』の順序で語句の注釈を記し、下巻の末尾に24項目が問答体で述べられている。それまでの歌学を集大成した書として重要である。
[藤岡忠美]
『久曽神昇解題『日本歌学大系1』(1940・文明社)』
平安後期の歌論。藤原清輔著。1124年(天治1)から44年(天養1)ごろに著され,はじめ崇徳天皇に,のちに増補して二条天皇に奉られた。3巻から成り,上巻には六義(りくぎ)や歌病(かへい)/(うたのやまい)などについて総論的に述べ,中・下巻には難しい歌語を注釈し,歌体についても論及する。歌語の注釈は,《古今集》歌を対象とするものが40%を占め,漢籍を主体とする諸書を博捜した考証に,歌門たる六条藤家の著作らしい特色がある。
執筆者:赤瀬 知子
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… またこの時代には和歌の学問がさかんになって,古歌の語が研究されるようになり,多くの歌論書が作られた。その中で,能因法師の《能因歌枕(うたまくら)》1巻,藤原仲実(なかざね)の《綺語(きご)抄》3巻,藤原清輔(きよすけ)の《奥儀(おうぎ)抄》3巻(天治~天養期(1124‐45)ころ成立),顕昭の《袖中(しゆうちゆう)抄》20巻(文治期(1185‐90)ころ成立),藤原範兼(のりかね)の《和歌童蒙(どうもう)抄》10巻(1135‐55(保延1‐久寿2)の間に成立)などの中には,歌語を集めて意味分類をし,それに解釈を加えた部分が含まれている。
[鎌倉・室町時代]
平安時代の辞書の影響を受けながら,多くの辞書が新しく編まれた。…
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