楽章(読み)ガクショウ

デジタル大辞泉 「楽章」の意味・読み・例文・類語

がく‐しょう〔‐シヤウ〕【楽章】

ソナタ交響曲などを構成する、完結性を備えた一つ一つの曲。

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精選版 日本国語大辞典 「楽章」の意味・読み・例文・類語

がく‐しょう‥シャウ【楽章】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 音楽に合わせて歌う歌。
    1. [初出の実例]「上の意に思ふ様に新き楽章のふしを弦歌するぞ」(出典:史記抄(1477)一七)
  3. ソナタや協奏曲、交響曲などの多楽章形式を構成する、一つ一つ完結した楽曲の章。第一楽章、第二楽章など。
    1. [初出の実例]「『田園交響曲』の第一楽章が人々に与へる快い感動に似たもので」(出典:美しい村(1933‐34)〈堀辰雄〉美しい村)

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普及版 字通 「楽章」の読み・字形・画数・意味

【楽章】がくしよう(しやう)

音楽に合わせて歌う歌詞。〔唐書、李白伝〕、沈香子亭に坐す。(こころ)に感ずるり、白を得て樂を爲(つく)らしめんと欲す。

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改訂新版 世界大百科事典 「楽章」の意味・わかりやすい解説

楽章 (がくしょう)

ソナタや交響曲,協奏曲,室内楽組曲など,それ自体で一応完全なまとまりを有する幾つかの部分から成る器楽曲個々の部分をいう。急速楽章緩徐楽章などテンポ書法などの違いから区別することもある。一つの部分しかない場合を単一楽章といい,多楽章の場合,順序によって最初のものを第1楽章,最後のものを終楽章ないしフィナーレともいう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「楽章」の意味・わかりやすい解説

楽章
がくしょう
Satz ドイツ語
movement 英語

音楽用語西洋音楽の大きな楽曲(ソナタ、交響曲、協奏曲など)において、それを構成する完全に独立した部分、ないしは比較的独立性の強い部分をさす。各部分は第1楽章、第2楽章などとよばれる。多くの場合、それぞれに速度指示がなされており、速い楽章を急速楽章、遅い楽章を緩徐楽章といったりする。こういった構成法をもつ楽曲の形式を多楽章形式というが、それに対してリストのピアノ・ソナタ ロ短調のように、部分に分割できない大きな楽曲の形式は単一楽章形式とよぶ。またベートーベンの交響曲第5番や同第9番のように、楽章が存在していても、一部切れ目なく演奏される楽曲も多い。なお組曲では、楽章とよばれる場合もあるが、通常、第1曲、第2曲……とよばれている。

[黒坂俊昭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楽章」の意味・わかりやすい解説

楽章
がくしょう
akchang

朝鮮の詩歌形態の一つ。李朝建国の直後に発生した叙事詩王都移転あるいは新興国家の王業をたたえるための頌歌類であり,宮中儀式や宗廟祭典の際の演奏に合せて歌われた楽歌。発生段階においては定まった形式がなかったが,以後4句2節式基本形が最も多くみられる。代表的でかつ典型的な楽章には,ハングル創製以後最初の作品である『竜飛御天歌』 (125章) ,世宗の作と伝えられる『月印千江之曲』 (約 580章) などがある。作者はほとんど李朝建国の功臣,初期の支配階級であった。

楽章
がくしょう
movement

音楽用語。ソナタ,協奏曲,交響曲のように,1つの楽曲が2つ以上の,それ自体まとまった構成部分に分けられる場合,その各構成部分を楽章という。

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音楽用語ダス 「楽章」の解説

楽章[movement]

交響曲 やソナタ 、組曲など、多楽章形式の作品を構成する、独立した各部分をさす。

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世界大百科事典(旧版)内の楽章の言及

【朝鮮文学】より


[中世――高麗時代]
 はやく漢詩文をもってする科挙が実施され,漢詩は最高の水準に到達するが,郷歌形式の歌は高麗に入り急速に衰退していった。しかし民謡の一部は口承によって伝わり,のち李朝時代に《楽学軌範》(1493)と《楽章歌詞》(16世紀前半の中宗・明宗代編集)に採録され,その朝鮮語の歌詞を知ることができる。これらの〈高麗俗謡〉は20余首が残されているにすぎないが,いずれも秀歌のゆえに長く伝承されたものであり,母への思慕を歌った《思母曲》,恋人との別離を惜しみ嘆いた《カシリ》と《西山別曲》,歳時風の《動動》は,朝鮮古典詩歌の精華である。…

【段】より

…(1)雅楽では,近代では,1曲を章・節・段と細分したときの最小単位に用いる。これは文章の細目用語の応用で,楽章・楽節・楽段とも用い,そのまま洋楽のmovement,phrase,periodの訳語にも用いる。ただし楽段という訳語の用い方は場合によって一定していない。…

※「楽章」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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