(読み)ノウ

デジタル大辞泉 「濃」の意味・読み・例文・類語

のう【濃】[漢字項目]

常用漢字] [音]ノウ(慣) [訓]こい
〈ノウ〉
こってりとしている。色や味がこい。「濃艶のうえん濃厚濃縮濃淡濃密濃霧
美濃みの国。「濃州濃尾
〈こ〉「濃緑こみどり濃紫こむらさき
[名のり]あつ・あつし
難読信濃しなの裾濃すそご

こ【濃】

[接頭]名詞に付いて、そのものの色や密度などが濃いという意を表す。「酒」「染め」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「濃」の意味・読み・例文・類語

こ【濃】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 濃いこと。
    1. [初出の実例]「三つ栗の その中つ土(に)を 頭(かぶ)(つ)く 真火(まひ)には当てず 眉(まよ)画き 許(コ)に画き垂れ」(出典古事記(712)中・歌謡)
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 体言の上に付いて、そのものの色や密度が濃いことを表わす。「濃染」「濃紫」など。

濃の補助注記

「古事記」の例の「許(こ)」は乙類のコの仮名であるが、平安初期の、諸資料(新訳華厳経音義私記・西大寺本金光明最勝王経古点・新撰字鏡)では、「濃」は甲類のコであるところから、この「古事記」の例を「濃(こ)」ととらず、代名詞「是(こ)」と解する説もある。


のう【濃】

  1. 〘 接頭語 〙 化学薬品や色を表わす語の上に付いて、そのものより濃度が大きいことを示す。「濃硫酸」「濃緑色」など。

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普及版 字通 「濃」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] ノウ・ジョウ(ヂョウ)
[字訓] こまやか・こい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は農(のう)。〔説文〕十一上に「露多きなり」として、〔詩、小雅、(りようしよう)〕「零露(れいろ)濃濃(ぢようぢよう)たり」の句を引く。ものの濃淡より、感情や味覚などにも及んで用いる。

[訓義]
1. こまやか、こい、ねんごろ。
2. ふかい、あつい、おおい。
3. ふける、たけなわ。

[古辞書の訓]
名義抄〕濃 コマヤカナリ・コマカニ・コシ・アツシ・アマシ

[語系]
濃・nium、膿numなどみな農声の字で、濃厚・繁縟の意がある。

[熟語]
濃郁・濃雲・濃煙・濃艶・濃濃恩・濃厚・濃香・濃彩・濃姿・濃紫・濃愁濃汁・濃春・濃暑・濃笑・濃粧・濃翠・濃睡・濃染・濃黛・濃淡濃茶・濃酎・濃濃・濃薄濃墨・濃抹・濃密・濃霧・濃・濃腴濃嵐濃緑・濃露・濃
[下接語]
雲濃・煙濃・艶濃・香濃・山濃・酒濃・秋濃・情濃・色濃・深濃・翠濃・徳濃・露濃

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