牽牛(読み)けんぎゅう

精選版 日本国語大辞典 「牽牛」の意味・読み・例文・類語

けん‐ぎゅう ‥ギウ【牽牛】

[1] 「けんぎゅうせい(牽牛星)」の略。《季・秋》
三教指帰(797頃)上「天上牽牛、猶歎独住」 〔荊楚歳時記
黄葉夕陽邨舎詩後編(1823)七・秋日雑詠「我圃牽牛種頗奇、伝言本自漳州移」

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デジタル大辞泉 「牽牛」の意味・読み・例文・類語

けん‐ぎゅう〔‐ギウ〕【×牽牛】

牽牛星」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「牽牛」の意味・わかりやすい解説

牽牛
けんぎゅう

わし座の主星アルタイル中国名、またはその擬人化で、牛郎(ぎゅうろう)ともいう。和名彦星(ひこぼし)または犬飼星(いぬかいぼし)にあたる。こと座のベガ天の川を挟んで向かい合い、アルタイルはウシを飼う若者の牽牛に、ベガは機(はた)を織る乙女の織女(しょくじょ)にそれぞれなぞらえられた。中国の説話によると、織女はもともと天帝の娘で、明けても暮れても機織りに精を出していたが、天帝は、彼女が1人きりでなんの楽しみもないのを哀れみ、牽牛と結婚させた。ところが織女は結婚したとたん仕事をほうり出してしまったので、怒った天帝は2人を別居させた。それ以後2人は天の川の両岸に離れ離れに暮らすようになり、1年に一度だけ会うことが許されたという。

 この物語は、現在も中国の民間に広く流布している。2人が会うことが許されるのは7月7日といわれ、この牽牛と織女の伝説は、七夕(たなばた)行事とともに日本にも伝播(でんぱ)した。

[桐本東太]


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普及版 字通 「牽牛」の読み・字形・画数・意味

【牽牛】けんぎゆう

彦星。

字通「牽」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「牽牛」の解説

牽牛 (ケンギュウ)

植物ヒルガオ科一年草,園芸植物,薬用植物アサガオ別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の牽牛の言及

【アサガオ(朝顔)】より


[日本での歴史]
 日本のアサガオは,奈良朝の末期に遣唐使の一行によって中国から渡来したとか,朝鮮の百済(くだら)から持ち込まれたとかいわれるが,定説はない。中国ではアサガオを牽牛(けんご),種子を牽牛子(けんごし)といっている。薬用の種子は黒と白色のもので,利尿,殺虫をかねた峻下剤として,下半身の水腫,尿閉症の妙薬として珍重されたようである。…

【アルタイル】より

…和名は彦星。中国名牽牛(けんぎゆう)を当時の男子の敬称によって呼んだものである。また,犬飼星の別称もあり,七夕説話伝来以前の和名かと思われる。…

【牽牛・織女】より

…中国,神話伝説の中にみえる男女一対の神。おそらく元来は牽牛が男の仕事である農耕を,織女が女の仕事である養蚕紡織を象徴し,神話的宇宙観の中で二元構造をなす一対の神格であったものが,星座にも反映されたものであろう。星名は,牽牛がアルタイルAltair,織女がベガVega。…

【七夕】より

…7月7日を特別の祭日とする観念は,おそらく古い農耕儀礼に起源をもつのであろうが,文献資料にのこるものとしては後漢時代の崔寔(さいしよく)《四民月令》が最も古いものの一つである。そこには,この日に書物の虫干しをするほか,河鼓(かこ)(牽牛)と織女の二星が会合するのにあわせて,人々は願いごとをするという(牽牛・織女)。虫干しにされるのは衣服だともされ,衣服に祖霊が依り付くという古くからの信仰と考えあわせ,7月7日が元来,農耕儀礼に結びついた祖霊祭の日であったことが推定される。…

※「牽牛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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