出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…哲学用語としては,sich(selbst) eines Dinges(またはeinem Dinge) entfremdenのように,再帰的に用いられる。この再帰用法を名詞化すると〈自己疎外Selbstentfremdung〉となるが,ヘーゲルにこの〈自己疎外〉という名詞形の語法はない。古くから離反Entfremdung,断念・譲渡Entäusserungの意で日常語として用いられ,またラテン語のalienatio(譲渡)の訳語としても用いられ,〈神からの人間の離反〉という意味で神学上の用語ともなったが,哲学的にはフィヒテが用いて以後,ヘーゲルの《精神現象学》で重要な術語として確立され,マルクスの《経済学・哲学草稿》の中心概念となる。…
…しかし,近代になって労働が人間の自己活動としてとらえられるようになって,この問題は,自己活動であるべき労働が,外なる秩序に従わねばならないという,人間に自己の分裂をもたらす根本問題として意識されるようになったのである。 自己疎外という概念を用いて,この分裂と賃労働の関連について巧妙な照明を与えたのはマルクスである。人間は労働をとおして対象を加工することによって,自己を労働生産物の中へ対象化する。…
※「自己疎外」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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