北海道釧路市や鶴居村などに広がる国内最大の湿原。約2万9千ヘクタールが国立公園として指定されている。釧路川や塘路湖などがあり、国の特別天然記念物タンチョウや絶滅危惧種キタサンショウウオといった多くの希少な野生生物が生息している。1980年には日本で初めて湿地保全などを目的とした国際条約「ラムサール条約」に登録された。
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釧路支庁の釧路市から釧路町・
釧路平野には縄文時代に海進によって古釧路湾が形成されていた。その後湾口に砂礫洲が発達して潟湖が形成された。この潟湖内の水は引続いて起こった海退により、汽水から淡水へと変化するとともに、土砂や植物の埋積によって湿原となった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道東部の釧路川、阿寒川(あかんがわ)の下流部一帯に広がる釧路平野の約80%を占める標高10メートル未満の低湿な泥炭地。釧路市と、釧路総合振興局管内の釧路町、標茶町(しべちゃちょう)、鶴居村(つるいむら)にまたがる。無数の中小河川が周辺の台地・丘陵から流れ込んで手のひら状の低湿地をつくり、シラルトロ沼、塘路(とうろ)湖、達古武(たっこぶ)沼などの海跡湖が東側を流れる釧路川沿いに並び、かつては深い湾入であったと考えられる。特別天然記念物のタンチョウや天然記念物のオジロワシ、エゾシマフクロウなどを含む鳥類約170種、エゾシカなど哺乳(ほにゅう)類26種、キタサンショウウオなど両生・爬虫(はちゅう)類9種、イトウなど魚類34種、イイジマルリボシヤンマなど昆虫類約1150種や、スゲ、ヨシ、ヌマガヤ、ミズゴケ、ハンノキなどの植物約600種で貴重な低層湿原の生態系を構成している。
1960年代までは釧路市街地がある南部の砂丘・段丘地帯を除く釧路平野のほぼ全域に及んでいて、釧路湿原は釧路平野と同義に用いられてきた。その面積は2万9000ヘクタール(290平方キロメートル)とされる。1970年代から1990年代にかけての開発の影響で、釧路湿原は2万2000~2万3000ヘクタールに減少したといわれる。このうち、農地、森林などを除く「湿原」に当たる部分はさらに少なく、1万8290ヘクタール(1985)となっている。うち、鳥獣保護区に指定されていた中心部の5011.4ヘクタールが、1967年(昭和42)国の天然記念物(天然保護区域)に指定され、1980年日本で最初のラムサール条約登録湿地となった。1987年には同条約の登録地が7726ヘクタールに拡大されるとともに、周辺部を含む2万6861ヘクタール(うち、原野と水面1万8003ヘクタール)が釧路湿原国立公園に指定された。
しかし、これらの保護政策の一方で、農地・宅地開発、ゴルフ場などの観光開発、資材置き場設置、道路整備、河川改修など、とくに指定区域外での開発が生態系に影響を及ぼしているという指摘もある。1989年(平成1)以後、ナショナル・トラスト方式による保護運動が行われている。釧路市湿原展望台、北斗(ほくと)展望台、釧路町の細岡展望台などから観察でき、展望台周辺に整備された木道の散策も可能である。
[編集部]
『『釧路湿原』(1990・釧路市)』▽『『釧路湿原の自然観察』(1990・日本自然保護協会)』▽『『釧路湿原―知られざる生き物たち』(1993・北海道新聞社)』▽『山下弘文著『ラムサール条約と日本の湿地』(1993・信山社サイテック)』▽『本多勝一編『釧路湿原―日本環境の現在』(朝日文庫)』
Kushiro Marsh
北海道東部の釧路地域に分布する湿原。日本に現存する湿原としては最大面積をもつ(約2万ha)。釧路川・チルワツナイ川などの表流水と,周辺丘陵および湿原内から供給される湧水によって涵養。湿原は大部分が低層湿原植生で覆われるが,一部では高層湿原も見られる。タンチョウ(特別天然記念物),クシロハナシノブ(絶滅危惧Ⅱ類)などの動植物の貴重な生息地。自然本来の姿の蛇行河川を多く残している湿原としても貴重。最終氷期最盛期には開析谷,その後,縄文海進によって古釧路湾となった(約7,000年前に最大)。さらに周辺から供給された土砂で埋積され,約3,000年前に現在の釧路湿原が成立(Y.Takashimizu et al., 2016)。1970年代以降,湿原中央部にまでハンノキ林が出現・拡大している。人為の影響としては,新釧路川(長さ11.2km)に代表されるような直線水路開削による湿原からの排水と,湿原への土砂流入量の増加,そして周辺地域での農地拡大による湿原の富栄養化などがあるとされている。ただし,ハンノキ林拡大との科学的な因果関係についてはよく分かっていない。
執筆者:髙清水 康博・冨士田 裕子
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…北海道東部,釧路支庁の釧路町,鶴居村,標茶(しべちや)町,釧路市の1市3町村にまたがる沖積平野。南部の海岸砂丘地帯を除き,大部分が低湿な泥炭地(釧路湿原)からなっている。砂丘は海岸に沿ってほぼ東西に伸び,海岸から内陸にかけての幅1500mの間に約10列あって,その高さは最高で7~8m,大部分が5~6mの低いものである。…
※「釧路湿原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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