サロベツ原野(読み)さろべつげんや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サロベツ原野」の意味・わかりやすい解説

サロベツ原野
さろべつげんや

北海道北部、日本海沿いに広がる低湿地宗谷(そうや)総合振興局管内の豊富町(とよとみちょう)、幌延町(ほろのべちょう)と留萌(るもい)振興局管内の天塩町(てしおちょう)にまたがる。地名はアイヌ語のサル・オ・ペッ(葭原(よしはら)にある川)による。砂丘列の内側、天塩川最下流部に形成された約146平方キロメートルの泥炭地で、大部分は標高5メートル以下、融雪期には湛水(たんすい)する。1899年(明治32)以来の入植地もあるが、大部分は未開拓であった。1961年(昭和36)国営の実験農場が置かれ、排水工事が進められて、北部は大規模草地となった。利尻礼文(りしりれぶん)サロベツ国立公園に指定されている。また、サロベツ原野は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。

岡本次郎


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サロベツ原野」の意味・わかりやすい解説

サロベツ原野
サロベツげんや

北海道北端天塩平野の大半を占める低湿地。天塩川北方を占め,さらに豊富町幌延町の町界によって北方の上サロベツ原野,南方の下サロベツ原野に分かれる。湖沼群があり,上サロベツ原野には兜沼,下サロベツ原野にパンケ沼ペンケ沼がある。泥炭地と冷涼な気候条件によって,いまなお未利用地が多い。海岸の砂丘地域は利尻礼文サロベツ国立公園に含まれる。2005年中心部の高層湿地など 25.6km2ラムサール条約に登録された。

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