二次電子増倍管(読み)ニジデンシゾウバイカン

デジタル大辞泉 「二次電子増倍管」の意味・読み・例文・類語

にじでんし‐ぞうばいかん〔‐ゾウバイクワン〕【二次電子増倍管】

二次電子を加速して次の電極衝突させ、次々に電子を増倍させて大きな電子流やイオン流を得る真空管。イオン電流光電子測定使用

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化学辞典 第2版 「二次電子増倍管」の解説

二次電子増倍管
ニジデンシゾウバイカン
secondary electron multiplier

金属またはその酸化物などが,加速された荷電粒子,または中性粒子に衝撃された場合に二次電子放出をする現象を利用して,粒子流を電子流に変換して増幅する装置で,光電子増倍管原理は同じである.また,図のような構造で,2枚のガラス板の表面に,二次電子放射能力の高い物質を薄く焼きつけたものを平行に並べ,図面に垂直な磁場を与えて図のように電子を移動させながら増倍する磁場型二次電子増倍管があり,イオンの到達時間差が問題となる飛行時間型質量分析計などに使用される.そのほか,小型で高い利得を得ることのできるチャンネル型二次電子増倍管があり,光電子分光器やイメージインテンシファイアなどに使用されている.入射粒子が毎秒 105 以下の微小な場合には,二次電子増倍管の出力パルス増幅してパルスを計数し,入射粒子を一定時間計数することも広く行われている.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二次電子増倍管」の意味・わかりやすい解説

二次電子増倍管
にじでんしぞうばいかん

二次電子放出効率のよい電極面に一次電子を衝突させ、放出された二次電子を加速してさらに次の電極に衝突させ、次々と電子を増倍して信号を取り出せる電子管。受信管程度の大きさでも、1回の衝突で5倍の電子が得られれば、10段で約1000倍の増幅が得られる。微弱な電子で増幅できることから、光陰極といくつかの二次電子放出物質を組み合わせたもので、光電子増倍管がもっとも知られている。そのほかチャネルマルチプライヤーとよばれる微細なパイプ内で二次電子を増倍するものや、それらを平面上に並べて映像を増幅するマルチチャネルプレートがあり、光検出、暗視用などに用いられる。

[岩田倫典]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二次電子増倍管」の意味・わかりやすい解説

二次電子増倍管
にじでんしぞうばいかん
secondary electron multiplier

金属や酸化物の面に電子を当てると電子が放出される。これを二次電子という。材料や電子のエネルギーを適当に選ぶと二次電子の数はもとの電子の数の数倍になる。これを多数回積重ねて,電子増倍すなわち電流増幅を行う真空管で,雑音の小さいことが特色である。電流増幅率は通常 105~106 程度と非常に大きい。これを利用した代表的なものに光電子増倍管,イメージオルシコンなどがある。

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