江戸中期の漢詩人。名は公美,字は君玉,通称は衛門。〈たつそうろ〉と読むという説もある。山城伏見の人。早くに父を失い,京都に出て商家に奉公しながら儒学と詩文を学び,25歳で儒者として立った。宝暦(1751-64)から天明(1781-89)にかけて,江村北海とともに京都の儒学界を二分する名声があった。1750年(寛延3)には彦根藩に儒官として召し抱えられた。その実,儒者としての業績にあまり見るべきものはなく,本領は詩文にあった。すなわち幽蘭社という漢詩の結社を開き,門人を多数育てて,京都の地に漢詩の趣味を定着させた。また和歌と書道をもよくした。著書に《草廬詩集》《名詮》《典詮》などがある。
執筆者:日野 竜夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(高橋昌彦)
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