出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イギリス,ウェールズ北西部グウィネッズ州の州都。ウェールズ語ではカーナーフォンCaernarfonと呼ぶ。人口9506(1981)。カーナーボン湾に面する。この名称はケルト系ウェールズ住民の言葉で〈砦〉の意味があり,紀元75-80年にローマ人がこの地に築いた砦を指した。ローマ人撤退後はウェールズの部族の首領がこれを占拠した。ノルマン征服後の11世紀末にノルマン人がここに城塞を建築した。その後歴代のイングランド王がウェールズ遠征を行ったが,最終的にはエドワード1世が1282-83年に征服してイングランドに併合した。翌84年にはコモン・ローを引き写した〈ウェールズ制定法〉を発布し,国王の直接統治下においた。このときにカーナーボン州をはじめ6州が定められ,ここに大カーナーボン城を築いた。のちのエドワード2世はここで生まれ,1301年初代のプリンス・オブ・ウェールズ(イギリス皇太子)に任ぜられた。またここは18世紀末から19世紀に,非国教会の礼拝所が多数たてられ,急進主義宗教運動の一中心地となった。
執筆者:佐藤 伊久男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イギリス、ウェールズ北西部、グウィネズ県の県都。人口9695(1991)。セイオン川の河口に臨む港町で、観光、商業、行政の中心都市。市の歴史はローマ人の砦(とりで)建設にさかのぼり、史跡に富む。城壁に囲まれた旧市街には、由緒ある建物が多い。とりわけエドワード1世時代(1283~1323)に建てられたカーナーボン城は、エドワード2世(後のプリンス・オブ・ウェールズ)が誕生した重要な史跡である。
[久保田武]
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