ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キビタキ」の意味・わかりやすい解説
キビタキ
Ficedula narcissina; narcissus flycatcher
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鳥綱スズメ目ヒタキ科ヒタキ亜科の鳥。樺太(からふと)(サハリン)、日本および中国の太原(たいげん)付近で繁殖し、フィリピン、インドシナ半島、ボルネオ島に渡って越冬する。日本では、南西諸島から北海道、南千島まで分布し、高い樹冠のある広葉樹の多い林にすみ、朽ち木の割れ目などに巣をつくり、4~6個の卵を産む。止まり場から、飛んでいる昆虫を追いかけてとらえるヒタキ型の捕食法をとるが、その採食空間は樹冠の下である。また、樹上や地上の昆虫をとらえることも多い。全長約13センチメートル、雌雄異色である。雄は頭部と背面、翼、尾が黒く、腰、あごから胸までが橙黄(とうこう)色、腹と下尾筒は白い。また、橙黄色のくっきりとした眉(まゆ)がある。雌は上面オリーブ褐色、下面は汚白色。雄のさえずりは美しく、さまざまに調子を変えて歌い続けていく。中国東北部で繁殖する近似種マミジロキビタキF. zanthopygiaは、眉が白い。
[竹下信雄]
スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約14cm,雄は体下面に眉斑(びはん),腰が黄色で美しい。体上面は黒く,翼に大きな白斑がある。雌は全体に褐色でじみ。サハリン,日本,中国北部に繁殖,分布し,日本では北海道から九州,沖縄までの各地で繁殖する。秋・冬季には東南アジア方面の温暖な地方に渡って越冬する。よく茂った森林にすみ,おもに中層部に広がる空間に枝からパッと飛び立って飛翔(ひしよう)中の昆虫をとらえて食べる。5~7月の繁殖期には,雄はピョロロン,チッチリリ,チッチリリ,ツクツクオーシ,ツクツクオーシと聞こえる美しい声でさえずる。繁殖は1雄1雌のつがいで行い,林内の樹洞,枝葉の茂み,キツツキ類の古巣などに営巣する。1腹の卵数は4~5個で,抱卵は雌だけが行う。育雛(いくすう)は雄も手伝う。秋の渡りの時期には,市街地の公園などにも飛来する。この時期には木の実もとって食べる。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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