こども家庭庁(読み)コドモカテイチョウ

デジタル大辞泉 「こども家庭庁」の意味・読み・例文・類語

こどもかてい‐ちょう〔‐チヤウ〕【こども家庭庁】

内閣府外局の一。内閣府・文部科学省厚生労働省などがそれぞれ所管していた子供と子育てに関する事務一元化し、関連政策を推進させるための行政機関令和5年(2023)設置

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共同通信ニュース用語解説 「こども家庭庁」の解説

こども家庭庁

少子化や児童虐待、子どもの貧困などに横断的に取り組む2023年4月発足の首相直属組織。21年に当時の菅義偉首相が行政の縦割りを打破する象徴として創設を打ち出した。厚生労働省と内閣府の関連部局を移管し、民間からも職員を採用。幼稚園や小中学校といった教育分野を移す案は、文部科学省の反対で見送られた。23年12月には、少子化対策を盛り込んだ「こども未来戦略」と、子ども・子育て政策の方向性を定めた初の指針「こども大綱」を閣議決定した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「こども家庭庁」の意味・わかりやすい解説

こども家庭庁
こどもかていちょう

日本の子ども政策の中核を担う国の行政組織。こども家庭庁設置法(令和4年法律75号)に基づき、2023年(令和5)4月、内閣府外局として発足した。こども家庭庁担当相(内閣府特命担当国務大臣)を置き、他省庁への勧告権限を有する。事務方トップはこども家庭庁長官。職員定員は430人で、地方自治体との人事交流や民間登用を行う。少子化対策、子育て支援、いじめ・虐待・自殺防止、貧困対策などを一元的に進め、すべての子どもが自立した個人として健やかに成長する「こどもまんなか社会」の実現を担っている。縦割り行政解消のため文部科学省、厚生労働省、内閣府、警察庁などに分かれていた子ども関連部局を統合し、長官官房、成育局、支援局の3部門を設置。

 長官官房はこども基本法(令和4年法律第77号)に基づき、基本方針「こども大綱」を策定し、子どもの意見を反映しながら企画立案や総合調整を担う。重要事項は、こども家庭審議会に諮って調査・審議する。

 成育局は妊娠・出産の支援や、保育施設や幼稚園を利用していない未就学児への対策に取り組むほか、子どもと接する職業に就く際に、性犯罪歴がないことを確認するイギリスの制度実施機関Disclosure and Barring Service(DBS:前歴開示・前歴者就業制限機構)を参考にした「日本版DBS」や、子どもの死亡経緯を検証して再発防止につなげる「CDR(Child Death Review)」の導入にあたる。また、子どもに罰や暴力で身体的・心理的に深い傷を負わせる「不適切保育」の防止に努める。

 支援局は虐待、いじめ、障害、ひとり親などのため、困難を抱える子どもやその家庭の支援にあたる。重大ないじめには、学校または学校の設置者に対して、文部科学省に説明や情報提供を求める勧告を実施。家族の介護や世話を日常的に行っているヤングケアラーの早期把握に努め、福祉・医療関係者と連携して支援する。さらに障害児や里親支援も担い、子育て世帯を総合支援する「こども家庭センター」の全国展開に取り組む。また、国立児童自立支援施設である「武蔵野学院」(さいたま市)と「きぬ川学院」(栃木県さくら市)も所管する。

 人口減少に転じた日本では、2009年(平成21)以降、子ども行政を一元化する「子ども家庭省」「子ども庁」「子ども省」などの構想が浮上しては見送られてきた。こども家庭庁発足にあたって、懸案の幼保一元化(幼稚園と保育所の所管統一)は見送られたが、幼稚園、保育園認定こども園などの施設で共通の教育・保育サービスの提供を目ざす。

[矢野 武 2023年10月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「こども家庭庁」の意味・わかりやすい解説

こども家庭庁
こどもかていちょう

子供および子供のいる家庭の福祉の増進や保健の向上,子供のすこやかな成長,家庭での子育ての支援,ならびに子供の権利利益の擁護に関する事務などを行なう内閣府外局。2023年4月1日発足。常に子供の最善の利益を第一に考え,子供に関する取り組みや政策を社会の真ん中に据えることを基本理念に,スローガン「こどもまんなか」を掲げ,小学校就学前のすべての子供の育ちの保障および居場所づくりなどを主導する。
日本の社会がかかえる少子化や人口減少,ひとり親家庭が直面しがちな貧困,さらにいじめ児童虐待,親の子育ての負担増加などを背景に,これまで厚生労働省,内閣府などが個別に担ってきた問題対応や司令塔としての機能・役割をこども家庭庁に移管・一本化し,また学校でのいじめ対策などを担う文部科学省と強力に連携する。
こども家庭庁の長はこども家庭庁長官で,内部部局として長官官房(企画立案・総合調整),成育局(妊娠・出産支援,子供の育ちの保障等)および支援局(いじめ・虐待対策,ひとり親家庭支援,障害児支援等)の 1官房 2局が,施設等機関として国立児童自立支援施設がある。全体で約 430人体制で発足した。また,各省大臣への勧告権などをもつ内閣府特命担当大臣が必置され,特別の機関として,内閣総理大臣を長とし,こども大綱の案の作成やこども施策に関する重要事項について審議などを行なう閣僚会議,こども政策推進会議が設置された。

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