ジュール=トムソン効果(読み)ジュール=トムソンこうか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュール=トムソン効果」の意味・わかりやすい解説

ジュール=トムソン効果
ジュール=トムソンこうか
Joule-Thomson effect

気体を入れた容器と,ほぼ真空の容器とを,綿などを詰めた管でつなぎ,外との熱の交換が無視できる条件のもとで綿の栓の細孔を通して静かに気体を流れさせると,気体の温度が下がるという現象。この実験は,J.P.ジュールと W.トムソン (ケルビン卿) が 1847年に行なったもので,ジュール=トムソンの細孔栓の実験と呼ばれている。気体の内部エネルギー体積との関係を測定しようとして 45年にジュールが行なった実験の精度を高めたものである。測定によると,実在の気体を用いたときの温度の低下は,圧力の低下に比例する。このときの比例定数をジュール=トムソン係数という。一般に,いろいろな気体に固有の逆転温度と呼ばれているものがあり,これ以下では温度降下,これ以上では温度上昇がみられる。これは,ジュール=トムソン係数がゼロになる温度である。常温では,水素ヘリウムなどについては温度が上がるが,空気などの多くの気体では温度が下がる。これは,逆転温度が水素で-80℃,ヘリウムで-173℃と低いためである。実在の気体で温度変化が生じる理由は,第1に状態方程式理想気体と違うからであり,第2に内部エネルギーが体積にも関係するからである。ただし,実在の気体でも希薄にすれば,理想気体に近づく。ジュール=トムソン効果は,液化しにくい気体を液化するときの冷却過程に応用されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュール=トムソン効果」の意味・わかりやすい解説

ジュール‐トムソン効果
じゅーるとむそんこうか

ジュールの実験

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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