チャールズ3世(読み)チャールズさんせい(英語表記)Charles III

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャールズ3世」の意味・わかりやすい解説

チャールズ3世
チャールズさんせい
Charles III

[生]1948.11.14. ロンドン,バッキンガム宮殿
イギリスの国王在位 2022~ )。フルネーム Charles Philip Arthur George, prince of Wales and earl of Chester, duke of Cornwall, duke of Rothesay, earl of Carrick and Baron Renfrew, Lord of the Isles, and Prince and Great Steward of Scotland。イギリス女王エリザベス2世とエディンバラ公フィリップの間の第一子,チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ Charles Philip Arthur Georgeとして生まれ,女王の死去に伴い,2022年9月8日グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の国王に即位した。
父と同じくスコットランドエルギンにあるゴードンストン校などで学び,1967年にケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに入学。1971年に学士号を取得したが,これはイギリスの王位継承者としては初めてのことだった。一方で,1969年7月1日のカーナーボン城でのプリンス・オブ・ウェールズ prince of Wales(ウェールズ公。イギリス皇太子の称号)の叙任式に備えてアバラストウィスウェールズ大学にも通い,ウェールズ語を学んだ。その後,クランウェルの王立空軍士官学校とダートマス海軍兵学校で訓練を受け,1971~76年イギリス海軍に所属した。建築に強い関心を向け,1989年に著書英国の未来像:建築に関する考察』A Vision of Britain: A Personal View of Architectureを発表,1992年には都市の再生・開発にかかわる組織体 BREトラストの前身となるプリンス・オブ・ウェールズ・インスティテュート・オブ・アーキテクチャーを設立した。
1981年7月29日,第8代スペンサー伯爵の三女ダイアナ・フランシス・スペンサーと結婚。ロイヤルウェディングは世界中のメディアが注目する一大イベントとなり,何億人もの人々がテレビ中継を見た。1982年6月21日に第一子ウィリアム・アーサー・フィリップ・ルイスが,1984年9月15日に第二子ヘンリー・チャールズ・アルバート・デービッド(通称ハリー)が誕生したが,ダイアナとの結婚生活はタブロイド紙の執拗な詮索や不倫の噂のなか悪化の一途をたどり,1992年12月9日に夫妻別居を発表,1996年8月28日に正式に離婚した。さらにその 1年後にダイアナが自動車事故で死亡したことから,彼女に同情的な国民感情が伝統を重視するイギリス王室の存在意義を脅かすことになった。チャールズは自身や王室のパブリックイメージの近代化に力を注ぎ,2005年4月9日,長年交際してきたカミラ・パーカー・ボウルズと結婚,カミラはコーンウォール公爵夫人 duchess of Cornwallの称号を得た。
2010年代に入ると,イギリス王室への一般的な関心は二人の王子とその華やかなパートナーに移っていった。ウィリアムは 2011年にキャサリン・ミドルトンと,ハリーは 2018年にメーガン・マークルとそれぞれ結婚,しかし 2020年1月,ハリーとメーガンが公務から退くことが発表された。また 2019年11月には,性的人身取引で勾留され急死したアメリカ人富豪と親交があった弟のアンドルー王子が当面公務から距離をおくことになった。これらの出来事は,高齢のエリザベス女王の代役を務めるようになったチャールズの負担をさらに増やすことになったが,チャールズを実質的な摂政とする見方を強めることになった。
チャールズ3世は 2022年9月9日,即位後初となる国民向け演説を行ない,母である女王の生涯に敬意を表するとともに,神が与えし残された時間を通じて国の根幹をなす憲法を守り続けることを誓った。また,ウィリアムにプリンス・オブ・ウェールズの称号を授け,バッキンガム宮殿でリズ・トラス首相と会見した。

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