ちょぼくれ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ちょぼくれ」の意味・わかりやすい解説

ちょぼくれ

祭文(さいもん)の一種で江戸時代後期に流行した大衆芸能。「ちょんがれ」ともいう。詞章前後に「ちょんがれちょんがれ」「ちょぼくれちょぼくれ」の囃子詞(はやしことば)がついたため「ちょんがれ節」「ちょぼくれ節」といった。語源不詳。早口でしゃべるところに特徴があった。享保(きょうほう)(1716~36)のころに江戸で始まり、1821年(文政4)に大坂でも流行したことが『摂陽奇観(せつようきかん)』にみえる。願人(がんにん)坊主錫杖(しゃくじょう)を打ち振りながら歌うように語って歩いた。梅亭金鵞(ばいていきんが)の『七偏人(しちへんじん)』に「ちょぼくれちょんがれちゃらまか流」とある。

[関山和夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ちょぼくれ」の意味・わかりやすい解説

ちょぼくれ

江戸時代に盛んであった門付芸 (かどづけげい) の一種。「ちょんがれ」と称して宝永年間 (1704~11) 頃大坂で行われ,のち江戸では「ちょぼくれ」の名で流行した。錫杖 (しゃくじょう) ,鈴などを持って,早口唄や神おろしの文句を唱えて門口に立った。祭文 (さいもん) の読み口が早まったものという説もある。小さな木魚を用いる経文もじりのちょぼくれは,「阿呆陀羅経 (あほだらきょう) 」といわれる。邦楽に入って舞踊化されたものも多い。

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