とはずがたり(読み)トワズガタリ

デジタル大辞泉 「とはずがたり」の意味・読み・例文・類語

とわずがたり【とはずがたり】[書名]

鎌倉後期の日記。5巻。後深草院二条作。徳治元年(1306)以後成立14歳後深草上皇ちょうを得て、宮廷生活を送ったときの愛欲記録や、31歳で出家後、諸国を巡った旅の見聞感想を記したもの。

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日本歴史地名大系 「とはずがたり」の解説

とはずがたり

五巻五冊 後深草院二条著

成立 徳治二年頃

写本 宮内庁書陵部

解説 中院大納言久我雅忠の女で後深草院に仕えて二条と称した女性の日記。第五巻に厳島参詣の旅を記す。嘉元元年鞆に着き、鞆より厳島へ渡った。記述には著者の体験した鞆の遊女の話、厳島の大法会、三次の奥にある和知江田を支配する武士の生活などがみえる。

活字本 岩波文庫、「日本古典全書」

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「とはずがたり」の解説

とはずがたり
とわずがたり

鎌倉後期の女流日記文学。5巻。作者の後深草院二条は源通親の曾孫で,源(久我)雅忠の女。4歳で後深草の院御所に迎えられ,やがて上皇をはじめ西園寺実兼・性助法親王・鷹司兼平,さらには亀山上皇などと次々に関係をもち,少なくとも4人の子供を生む(巻1~3)。30歳をすぎて出家し,鎌倉・善光寺・奈良・厳島から,四国・中国地方へと修行の旅を続けた(巻4・5)。これは9歳のときにみた「西行が修行の記」に深く影響された結果という。「源氏物語」などの影響が強く,細部のすべてを事実とみるのはためらわれる。「増鏡」に材料として利用される。「完訳日本の古典」「新日本古典文学大系」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「とはずがたり」の意味・わかりやすい解説

とはずがたり

鎌倉時代の日記文学。後深草院二条 (大納言久我雅忠の娘) 著。5巻。徳治1 (1306) 年以後まもなく完成。前3巻は後深草院の寵を得た文永8 (1271) 年から宮仕えを退くまで (14~28歳) の仙洞の生活を,後2巻は東国旅行や院との再会,対面,西国旅行や院の崩御,遺子遊義門院との邂逅をおもな内容とする 32歳から 49歳までの出家修行の生活を描く。名門久我家の名に恥じぬよう意志的,行動的に人生を切り開いていった中世に生きる女性の一つの姿が,赤裸な心情の表出とともに記されている。『増鏡』編述の一資料となっている。

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百科事典マイペディア 「とはずがたり」の意味・わかりやすい解説

とはずがたり

問はず語り(とわずがたり)

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