ドイツ南部、バイエルン州南部の都市フュッセン(Füssen)の南、オーストリア国境近くのホーエンシュバンガウ(Hohenschwangau)にある、おとぎ話に出てくるような美しさを持った白亜の古城。東アルプス北麓のアンマー山地の湖アルプゼーやベーラット狭谷の滝を見下ろす断崖の高台に建っている。その姿の美しさやロマンチック街道の終点の観光スポットにあることから、ドイツで最も観光客に人気のある城になっている。また、米カリフォルニア州、パリ、香港の、3つのディズニーランドのシンデレラ城のモデルになった城の一つといわれている。この城を建設したのは、バイエルン王国の若き国王ルートヴィヒ2世(1845~1886年)である。中世騎士道への強い憧れを抱くルートヴィヒ2世はワーグナー(Wilhelm Richard Wagner、1813~1883年)に心酔し、オペラ『ローエングリン』と『タンホイザー』に登場する騎士の城を再現しようという一念だけで、経済性や実用性を度外視して計画を進め、城を1869年9月5日に着工した。このため、王国の財政は逼迫(ひっぱく)し、この国王はついには軟禁され、ほどなくシュタルンベルク湖畔を散歩中に謎の死を遂げる。すぐ近くには、ルートヴィヒ2世が幼いころ過ごした、父マクシミリアン2世が所有していたホーエンシュバンガウ城がある。フュッセン駅前からホーエンシュバンガウまでバスが運行していて、館内を見学するツアーが用意されている。