ビタミン過剰症(読み)びたみんかじょうしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビタミン過剰症」の意味・わかりやすい解説

ビタミン過剰症
びたみんかじょうしょう

水溶性ビタミンは組織内に長時間滞留することなく排泄(はいせつ)されるので過剰症になる心配は少ないが、組織蓄積性の高い脂溶性ビタミンであるA、D、K、Eは過剰症になる可能性がある。ヒトの場合では、ビタミンAとDに過剰症の報告がある。これらは通常、薬物として大量に投与されていたときにおこるが、1899年に北極探検家が白クマの肝臓を毎日食べていて、ビタミンA過剰症になったという記載がある。

[橋詰直孝]

ビタミンA過剰症

急性過剰症では脳圧の亢進(こうしん)症状をきたし、頭痛や嘔吐(おうと)、乳児では大泉門膨隆、嗜眠(しみん)傾向を示す。慢性過剰症では皮膚と骨の症状が特徴的で、皮膚がざらざらしてかゆみを伴い、四肢骨に有痛性腫脹(しゅちょう)がみられる。乳児では食欲不振、脱毛、体重増加停止、不機嫌になる。これらの症状は、ビタミンAの投与を中止すると比較的早期に軽快する。

[橋詰直孝]

ビタミンD過剰症

成人では全身倦怠(けんたい)、吐き気、嘔吐、便秘、多飲多尿、脱水、小児の場合はさらに筋緊張の低下、皮膚の乾燥などもみられる。検査で血清カルシウムの異常高値、血清コレステロールの上昇がみられる。これらの症状や異常検査値は、ビタミンDの投与を中止しても長く続く。

[橋詰直孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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