ポーランド回廊(読み)ポーランドカイロウ(その他表記)Polish Corridor

デジタル大辞泉 「ポーランド回廊」の意味・読み・例文・類語

ポーランド‐かいろう〔‐クワイラウ〕【ポーランド回廊】

Polish Corridor》1919年、ベルサイユ条約ドイツからポーランドに割譲された、西プロイセンポーゼン北部地方の通称。ポーランドにバルト海への出口を与えるため、ドイツ領を分断して設けられた。その後ドイツ・ポーランド間の紛争の地となり、第二次大戦起因となった。

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精選版 日本国語大辞典 「ポーランド回廊」の意味・読み・例文・類語

ポーランド‐かいろう‥クヮイラウ【ポーランド回廊】

  1. 第一次世界大戦後のベルサイユ条約で、ドイツからポーランドに割譲された西プロイセンおよびポーゼン地方北部の通称。ポーランドのバルト海への通路の意。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポーランド回廊」の意味・わかりやすい解説

ポーランド回廊
ぽーらんどかいろう
Polish Corridor

第一次世界大戦後、ドイツ領からポーランド領に編入された地域のうち、東ポモジェ(西プロイセン)とポズナニ(ポーゼン)地方とをさし、ポーランドの海への通路という意味でつけられた呼称。この地は、古くからポーランドが支配してきたが、第一次・第二次ポーランド分割によってプロイセン領となっていた。1938年10月24日ヒトラーは、回廊を通過して東プロイセンとドイツ本国とを結ぶ、治外法権をもった自動車道路鉄道建設を要求してきたが、ポーランド政府はこれを拒否したため、翌年9月1日ドイツのポーランド侵攻が始まり、この地域の問題が第二次世界大戦発火点となった。

[安部一郎]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ポーランド回廊」の解説

ポーランド回廊(ポーランドかいろう)
Polish Corridor

ヴェルサイユ条約によって,ポーランドの海への出口として与えられた旧ドイツ領地帯。この地帯にはドイツ人も居住し,また,東プロイセンのドイツ本国との分離は,ドイツにとって不利であったので,ナチスの政権掌握後はダンツィヒと並んで,ドイツとの係争問題となった。ヒトラーは1935年回廊を通過する鉄道,道路の設置を要求したが,ミュンヒェン会談以降さらにその要求を積極化した。39年3月からダンツィヒと回廊をめぐるドイツ‐ポーランド交渉は国際問題となったが,武力侵略を意図するドイツの態度は強硬で,交渉は失敗し,第二次世界大戦の導火線となった。現在はポーランド領に復している。

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百科事典マイペディア 「ポーランド回廊」の意味・わかりやすい解説

ポーランド回廊【ポーランドかいろう】

第2次大戦前,ドイツ本国と東プロイセンの間に介在したポーランド領。古くポーランド領で,1772年ポーランド分割でプロイセン(ドイツ)が割取,第1次大戦後ベルサイユ条約でポーランドに復帰。1938年以来ドイツはここに治外法権を有する道路・鉄道の敷設を要求してポーランドと対立。1939年からダンチヒ(現グダンスク)問題とともに本格的国際問題となり,第2次世界大戦の直接的原因となった。現在はポーランド領ポメラニア地方。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポーランド回廊」の意味・わかりやすい解説

ポーランド回廊
ポーランドかいろう
Polish corridor

1919年のベルサイユ条約の結果,ドイツからポーランドに割譲された長さ 400km,幅 128kmの細長い地域。この条約によって,内陸国であるポーランドは同回廊を通って,バルト海の港湾都市ダンチヒ (ポーランド名グダニスク) へ出ることができた。 1938年 A.ヒトラーがこの回廊を通過する道路,鉄道の支配権を要求し,ポーランドに拒否されたことが第2次世界大戦の口火となった。戦後はドイツの敗北でこの回廊を含む広大な地域がポーランド領となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ポーランド回廊」の解説

ポーランド回廊
ポーランドかいろう
Poland Corridor

第一次世界大戦後,ヴェルサイユ条約によってポーランド領となった西プロイセン地方とポズナニ地方の北部の地域
ポーランドからバルト海への通路にあたり,もとはポーランド領で,ポーランド分割のさいプロイセン領になった。ナチス−ドイツは反ヴェルサイユ体制の立場からここに野心を示し,1939年9月侵入を開始して第二次世界大戦の勃発となった。戦後は再びポーランド領。

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