ライトモチーフ(読み)らいともちーふ(その他表記)Leitmotiv ドイツ語

精選版 日本国語大辞典 「ライトモチーフ」の意味・読み・例文・類語

ライトモチーフ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Leitmotiv )
  2. ワグナーの後期のオペラに用いられた独特の手法一つで、あるモチーフ(動機)によって、そのオペラの特定の人物、場面、想念などを表わしたもの。示導動機。
  3. ある事柄、特に芸術作品などの、根底をなす観念。主要な動機。
    1. [初出の実例]「それが唯一の歴史の運動であり、ライトモティフである」(出典:清算明治維新史研究(1928)〈羽仁五郎〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライトモチーフ」の意味・わかりやすい解説

ライトモチーフ
らいともちーふ
Leitmotiv ドイツ語

楽劇のなかでしばしば登場する主題ないし動機で、特定の人物、事物などを象徴する機能をもつが、場合に応じて変形され、楽劇の発展を担ってゆく。ワーグナーはすでに初期のオペラ『さまよえるオランダ人』(1842)、『ローエングリン』(1848)でこの手法をとっているが、理論として確立するのは『オペラとドラマ』(1851)の著作を通じてである。ただしこの名称そのものは用いられておらず、後年、ハンス・フォン・ウォルツォーゲンHans von Wolzogen(1848―1938)のワーグナー研究で初めて使用された。示導動機、主導動機、誘導動機などと訳される。

樋口隆一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライトモチーフ」の意味・わかりやすい解説

ライトモチーフ
Leitmotiv

音楽用語。「主導動機」「示導動機」と訳され,ワーグナーの後期の楽劇のなかで,重要な人物,事物,想念などを表わす特定の動機。ドラマの発展に応じて,原形のまま用いられるだけでなく,基本的輪郭をとどめながら,リズム音程などが変容されて現れ,作品の有機的展開と統一に資する。ワーグナー自身は「基本楽想」と呼んだ。同様の手法は,ワーグナー以後のオペラに広くみられるだけでなく,ロマン派の交響詩でも用いられている。

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