ラマピテクス(読み)らまぴてくす(英語表記)Ramapithecus

翻訳|Ramapithecus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラマピテクス」の意味・わかりやすい解説

ラマピテクス
Ramapithecus

中新世にアジア,アフリカ,ヨーロッパの各地にすんでいたと考えられている化石霊長類。1960年代に E.サイモンズが,それまで別々に呼ばれていた一連化石,すなわち G.ピルグリムがインドで発見したドリオピテクス・プンジャビクス(1910),G.ルイスがやはりインドで発見したラマピテクス・ブレビロストリス(1932)とブラマピテクス・トルペイ(1934),ルイス・S.B.リーキーがアフリカで発見したケニアピテクス・ウイケリ(1962)などを調べた結果,歯列弓がヒトに近い放物線状であり,切歯犬歯が小さく臼歯の歯冠も低くヒト的である,などの共通した特徴をもつことが判明したため,これらをひとまとめにしてラマピテクス・プンジャビクス R. punjabicus の名を与えた。ラマピテクスは,歯の形態などからヒト科の一員であると考えられたこともあったが,オランウータン祖先とする見方も強まっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラマピテクス」の意味・わかりやすい解説

ラマピテクス
らまぴてくす
Ramapithecus

化石類人猿。アメリカ、エール大学の大学院生ルイスが1932年、インドの北西部シワリクで右上顎(じょうがく)骨片を発見したが、多くの学者は注目しなかった。1961年、リーキーらがケニアのフォート・ターナンでケニアピテクスを発見するに及び、64年以降、アメリカの霊長類学者サイモンズはケニアピテクスもラマピテクスの一員であるとした。またトルコ、ギリシアハンガリーパキスタン、中国南部から相次いで発見された化石破片もすべて同類のものと考えられた。いずれも歯または顎骨片にすぎないため、全貌(ぜんぼう)はつかみがたい。切歯や犬歯は小さいが、小・大臼歯(きゅうし)は大きく、歯冠は低い。歯の形態は人類としては原始的であるが、類人猿と比べるとかなり人類に近い。年代は第三紀中新世末から鮮新世前期で、600万年から1200万年前である。このような点からラマピテクス類は人類の直接の祖先と考えられたが、今日では性的二型とみなされ、オランウータンの祖先とみられるシバピテクスを雄(おす)、ラマピテクスはその雌(めす)と考えられるに至り、これを人類祖先とする見方は消え去った。

[香原志勢]

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