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アイソスタシー isostasy

翻訳|isostasy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アイソスタシー
isostasy

地殻平衡,地殻均衡と訳されている。 J.プラット (1855) は,地球表面に凹凸があっても釣合いが保たれるのは,底が平坦面で地塊ごとに密度が異なるからであるという説を出したが,G.エアリー (55) は,地形が高まっているところほどその根も深く,まるで氷山が海に浮ぶように地殻マントルの上に浮ぶことによって平衡が保たれていると考えた。 C.ダットンはエアリーの考えをアイソスタシーと名づけた (89) 。現在,地震波速度の深さ分布,重力異常などの地球物理学的資料はアイソスタシー説を強く支持している。日本海溝やフィリピン海溝など,海洋底拡大説によって海洋底が沈み込むところとされている場所では,アイソスタシーからの大きなずれが存在する。

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デジタル大辞泉の解説

アイソスタシー(isostasy)

地表の高低に関係なく、地球内部のある一定の深さで圧力が等しくなっていて、全体として均衡が保たれているという考え。地殻は、海に浮かぶ氷山のように、マントルの上に浮かんでいると考えられる。地殻均衡説

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百科事典マイペディアの解説

アイソスタシー

地殻均衡説ともいう。地殻はそれより密度の大きい〈液体〉の上に浮かび,地殻上の大きな凹凸は浮力でささえられ静力学的釣合状態にあるという考え。液体とは実際にはマントル上層100〜200kmの岩石が長視的には可塑的物質としてふるまうことをさす。
→関連項目エアリー

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法則の辞典の解説

アイソスタシー【isostacy】

地表近くの物質の分布は均一ではないのだが,地表よりある深さの水準面(均衡面)に到達すると,そこでは上部の不均一性が補償された結果,一定の圧力になるという理論.最初はフランスのブーゲ(P. Bouguer)によって着想されたといわれるが,広く理解されるようになったのはプラット(J. H. Pratt)が,ヒマラヤ山脈周辺の重力測定値をもとに1855年にこの提案を行ってからである.1889年に英国のダットン(C. E. Dutton)が「アイソスタシー」と命名した.重力異常や直線偏倚などを巧みに説明できるが,プラットの説ではこの均衡面の深さはほぼ一定のところにあり,上部の比較的密度の小さな地層が,密度のもっと大きな下層の上に浮いていると考えた.均衡面の深さは百数十kmぐらいだというデータも出されたが,地域差がきわめて大きいこともわかった.

後になって英国のエアリー(G. B. Airy)が,観測結果を詳細に再検討した結果として,地形の盛り上がりの大きなところは,均衡面がずっと下のほうへずれている(つまり均衡面の深さは一定ではない)という理論を唱えたが,これが,「エアリーのアイソスタシー」である(図を参照).こちらでは最初,下層は流体的な性質が大きいものとされたため,あまり学会の認めるところとはならなかった.だがその後,地震波などの測定結果から再び注目されるようになった.

現在では地下数百kmに及ぶ上部マントルまでの不均一性を考慮すべきだと考えられているが,だとするとプラットの説はエアリーの説をも包含してしまうこととなる.

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世界大百科事典 第2版の解説

アイソスタシー【isostasy】

地殻がマントルの上に浮力によってつり合っている状態。地殻の均衡ともいう。 1850年ころインドにおいて測定された鉛直線偏差は,ヒマラヤ山脈の質量分布から予測される値と大きく異なり,ゼロに近い値をとった。ヒマラヤ山脈のような大きい質量分布があれば,ジオイドはその上でもり上がり,鉛直線偏差は山麓において大きい値をとるはずである。アイソスタシーはこの事実を説明するために考案された地殻・マントル構造モデルである。

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大辞林 第三版の解説

アイソスタシー【isostasy】

地殻が、密度のより大きいマントルの上に浮かんでいる状態にある、という現象のこと。海水に浮かぶ氷山のように、高い山の地殻は地下深くまで厚く、海底の地殻は薄くなっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アイソスタシー
あいそすたしー
isostasy

地球表面にみられる地形の変化は、比較的浅い部分の構造によってつり合いがとれていて、地球内部のある深さより下では静水圧平衡の状態になっている。これをアイソスタシーまたは地殻均衡とよんでいる。この命名はアメリカの地質学者ダットンC. E. Duttonによる。なんらかの地質現象によってこうした平衡状態が崩れると、ふたたび平衡状態を取り戻す方向に変動がおこる。スカンジナビア半島にみられる、年に数センチメートルもの隆起はそのよい例で、氷河時代にこの地方を覆っていた厚い氷床が融けて大きな荷重が急に失われたためであるとされている。
 アイソスタシーの概念は、18世紀にフランスのブーゲーP. Bouguerらによってすでに考えつかれていたらしいが、これが広く注目を集めるようになったのは、1855年のプラットJ. H. Prattの研究以降のことである。プラットは、イギリスの観測隊がインドで得た測量の資料を詳しく調べて、ヒマラヤ南部における鉛直線偏差が、ヒマラヤの盛り上がりだけから予測される単純な計算値に比べて、著しく小さいことに気づいた。この結果を知ったイギリスのエアリーG. B. Airyは、地球の上層はより密度の大きな下層の上に浮いた形で平衡を保っており、地形の盛り上がりの大きな所ほど上層の底が深くなっているとする説を示した。
 プラットはこのエアリーの説に満足せず、上層と下層の境界は一定の深さにあり、地形の変化は上層内の密度の変化によって補償されているという説をまもなく発表した。
 これら二つの対立する説について、その後多くの議論が行われたが、エアリーの説は、地球内部が溶けた状態にあるという考えに基づいていたこともあって、それほど多くの支持を受けなかった。しかし、20世紀になって地震波などによる地下構造の研究が盛んになるにしたがい、エアリーの説がふたたび注目されるようになった。すなわち、普通の大陸地域に比べて山岳地域では地殻が厚いのに対して、海洋地域では逆に薄く、あたかも地殻がマントルの上に浮いているような姿が明らかになったからである。
 しかし、地形の変化が地殻の厚さの変化のみによって補償されているとする単純なエアリー流のアイソスタシーが、かならずしも正しくはないらしいことが、最近の研究によって明らかになってきた。すなわち、弧状列島のような複雑な地域はもちろん、普通の海洋地域においても、深さ数百キロメートルに達する大規模な不均質が上部マントル中に存在することがわかったからである。こうした上部マントル中の不均質を考慮しない限り、アイソスタシーの議論はもはや成り立たない。プラットの説を、地下数百キロメートルまでの不均質によって平衡状態が保たれていると解釈すれば、これはエアリーの説を包含する、より大きな概念であり、より現代的であるともいえる。[吉井敏尅]

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