ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アラン[リール]」の意味・わかりやすい解説
アラン[リール]
Alain de Lille; Alanus de Insulis
[没]1202. シトー
全科博士の名をもつ博学の神学者,詩人。パリで学び教壇に立ち,晩年をシトー修道院でおくった。学院の枠をこえた説教法を考え,道徳の腐敗を憤り,圧力を増してきたカタリ派,ワルド派の異端とユダヤ教,イスラム教を論駁した。シャルトル学派からプラトン的影響を受け,特にボエチウスに依りつつ,理性的根拠によって異教徒を論駁しようとした。『異端反駁公教信仰論』 De fide catholica contra haereticosの試みは『神学公理』 Maximae theologiaeでさらに徹底され,数学的方法を導入して,一者であり原理である神に絶対確実な論証を与えようとした。この態度はニコラ・ダミアンとともに,デカルトやなかんずくスピノザの先駆として注目に値する。また詩人としては『反クラウディアヌス詩集』 Anticlaudianusと,道徳的退廃を否定し自然を賛美する『自然嘆詠集』 De planctu naturaeを残している。
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