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イギリス建築 イギリスけんちくEnglish architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イギリス建築
イギリスけんちく
English architecture

5世紀初頭にローマ人がイギリスを退去して以後,建築はほとんど木造であったらしいが,10世紀頃から簡単な石造聖堂が建てられはじめる。これらをアングロ・サクソン建築と呼ぶ。ウィリアム1世のイギリス征服後,フランスのノルマンディー地方のロマネスク建築が導入され,これをノルマン建築と呼ぶ。ロンドン塔のホワイト・タワーとダラム大聖堂はその代表作で,後者は最初にリブ・ボールトを採用した聖堂として著名である。ゴシック建築は,フランスの盛期ゴシックを 1175~83年にカンタベリー大聖堂に輸入したのが最初で,まもなくソールズベリー大聖堂のようなイギリス独自の建築様式が生れた。 13世紀後期には,初期イギリス様式から装飾式ゴシック (→デコレーテッド・スタイル ) に変化し,さまざまの独創的な試みが行われたのち,垂直式ゴシック (14~15世紀) の時代に,イギリス・ゴシックは石造技術の極致ともいうべき高度の技巧を達成した。中世とルネサンスの過渡期である 16世紀には,チューダー様式エリザベス様式,ジャコビアン様式の3様式が行われ,17世紀初頭,I.ジョーンズによって初めてイタリア・ルネサンス様式が本格的に導入された。 17世紀後半の建築界は C.レンの独壇場で,セント・ポール大聖堂は彼の代表作である。レンもイタリア,フランスのバロック建築に大いに傾倒したが,18世紀初頭の 20年ほどは,J.バンブラや N.ホークスムアのような本格的バロック建築家が活動した。しかし,その後,ほとんど反動的に古典主義に戻り,パラディオ主義が流行し,R.アダムの優雅な古典様式 (→アダム様式 ) が登場するまで続いた。ジョージ朝時代は,いわばイギリス建築の黄金時代で,芸術性,実用性がほどよく調和していた。 19世紀に入ると,産業革命の結果,鉄を材料とした橋梁,鉄道駅,工場,倉庫などの実用建築が急速に発展したが,建築界の主流は他の各国と同様,ギリシア・リバイバル,ゴシック・リバイバル,ルネサンス・リバイバルを追い,特に多彩なゴシック様式がビクトリア朝建築の特色となった。これは A.ピュージン,J.ラスキン,W.モリスのような熱心な中世賛美者がいたためで,モリスは手仕事による美術工芸運動 (→アーツ・アンド・クラフツ運動 ) を推進し,工業化に反抗した。モリスらの影響で,イギリスの近代デザイン運動はその倫理性ではヨーロッパの先駆となったが,形態では伝統主義,方法では非工業的となり,ドイツで完成された 20世紀様式は第2次世界大戦までは広く受入れられず,第2次大戦後の復興計画や住宅問題解決のため,ようやく近代様式が一般的に採用されるようになり,その成果はめざましく,住宅地計画は他国の範となるにいたった。また環境保持の意欲が根強く,歴史的建造物の保護や田園風景の保存については,ナショナル・トラストの活躍などによって先進諸国のなかでも特にすぐれた成果をあげている。

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