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ウェストバージニア州教育委員会対バーネット裁判 ウェストバージニアしゅうきょういくいいんかいたいバーネットさいばんWest Virginia State Board of Education v. Barnette

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ウェストバージニア州教育委員会対バーネット裁判
ウェストバージニアしゅうきょういくいいんかいたいバーネットさいばん
West Virginia State Board of Education v. Barnette

1943年,アメリカ合衆国最高裁判所が,公立学校で児童にアメリカ国旗への敬礼(→忠誠の誓い)を強制することは,児童の言論の自由信教の自由を侵害する行為として違憲との判断を示した裁判。1940年に宗教上の理由で国旗への敬礼を拒否したペンシルバニア州ミナースビル学区の生徒 2人(エホバの証人〈→ものみの塔〉の信者)が退学処分になったことを最高裁判所が 8対1で支持した「ミナースビル学区対ゴビティス判決」をうけ,1942年,ウェストバージニア州は国旗への敬礼を生徒に義務づける規則を制定した。同州在住のエホバの証人の信者ウォルター・バーネットは,アメリカ合衆国連邦地方裁判所に訴えて州の規則実施に対する差止命令をかちとった。州教育委員会は最高裁判所に上告し,受理された。1943年3月11日に口頭弁論が行なわれ,最高裁判所は 6月14日に 6対3でゴビティス判決を覆した。多数意見を書いたのはゴビティス判決で多数意見に賛成したロバート・H.ジャクソン判事だった。ゴビティス判決は,おもにアメリカ合衆国憲法修正第1条(権利章典)の保障する信教の自由に関する主張に焦点をあてていたが,この判決は信教の自由と個人の言論の自由の両方を引き合いに出し,言論の自由には個人の意思に反した発言を強制されない権利が含まれることに言及した。ジャクソンの意見では多数派からの横暴に対する少数派の権利が次のように強調された。「わが国の憲法という星座に恒星があるならば,それは公務員が地位の高低にかかわらず,政治,ナショナリズム,宗教,その他の分野の意見について,なにが正当であるべきかを指図したり,市民に対してそれらに関する個人の信念をことばまたは行為を通じて明かすように強制することはできないという点である」。さらにジャクソンは権利章典が保障するものの核心をつくことを目指してこう書いた。
「権利章典というものの目的は,有為転変の政治論争から特定の主題を除外すること,そういう主題に多数派や当局者が手出しできないようにすること,そしてこのことを裁判所で適用する法原理として確立することにあった。個人の生命・自由・財産,言論の自由,出版の自由,および礼拝と集会の自由に対する権利とその他の基本的権利は,賛否を問う投票に付すべきでなく,いかなる選挙の結果にも依存しないものである」。

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