ウェルナー症候群(読み)ウェルナーショウコウグン

デジタル大辞泉の解説

ウェルナー‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【ウェルナー症候群】

Werner's syndrome》ドイツの医師オットー=ウェルナーにより注目された早老現象を伴い皮膚萎縮を特徴とする疾患。思春期ごろ、身長の発育がとまり、脱毛や筋肉の萎縮、皮膚の乾燥などの症状を呈する。

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百科事典マイペディアの解説

ウェルナー症候群【ウェルナーしょうこうぐん】

思春期後半から老化現象が始まり,40代後半で死亡する遺伝病。1904年にドイツの医師オットー・ウェルナーが報告したことで,この病名がついた。患者数は世界の全症例を累計しても約1000人と少ないが,うち日本人が8割を占める。 症状は10歳以下にはみられないが,思春期前後から老化現象のひとつである白内障,皮膚が硬くなる強皮症が出てくる。20歳を過ぎると白髪,皮膚や骨の萎縮など,外見でも老けてくるとともに,(がん),性腺機能低下症,動脈硬化なども現れる。30代で髪は真っ白,皮膚の色素沈着がおこり,声はかれ,40代になると70〜80代にしか見えなくなる。 1992年,都立大塚病院リウマチ膠原病(こうげんびょう)科の後藤真医長は,ウェルナー症候群の原因遺伝子が8番染色体短腕にあることを発見した。さらに,1996年には米国ワシントン州立大学のジェラルド・シェレンバーグ博士らのグループがこの遺伝子を分離して,メカニズムを解明した。 DNAは身体の設計図として特定のタンパク質をつくるが,正常に機能するうえでDNAの二重らせんをほどき1本になる過程がある。ウェルナー症候群の患者は,これをほどく酵素のウェルナーゼをつくる遺伝子の1ヵ所に突然変異があるため,DNAの自己複製やタンパク質の生成に悪影響を及ぼしているとみられる。今後の研究によっては,老化のメカニズム解明も期待されている。
→関連項目早老症

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大辞林 第三版の解説

ウェルナーしょうこうぐん【ウェルナー症候群】

〔ドイツの医師 Otto W. Werner(1879~1936)が1904年に発表したことから〕
成人にみられる早老症の一。白内障、皮膚の萎縮、白髪化・脱毛、骨粗鬆症こつそしようしよう、動脈硬化などの老化現象が若年期より認められ、半数が糖尿病を発症する。原因となる遺伝子異常が解明されている。

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世界大百科事典内のウェルナー症候群の言及

【老化】より

…ところが,次の世代をこしらえて役目を終えた個体は,次代の若い個体にとっては限られた食物資源の競合者として,かえって有害な存在となるので,保証機構が解除されるか老化遺伝子が発現することによって,親世代の排除が行われるというのである。この説を支持する証拠として,生物の限界寿命はそれぞれの種に特有であること,ある種の生物では致死遺伝子の存在が指摘されていること,ある種の遺伝病が特定の年齢に発現すること,年をとると癌や種々の病気にかかりやすくなること,また遺伝的早老症(プロジェリアprogeria,ウェルナー症候群Werner syndrome)患者の培養細胞の寿命が正常者のものより短いことなどが挙げられ,遺伝子の中に老化や寿命を決めるか,少なくともひじょうに大きな影響をもつ因子が含まれているとする。(2)エラー説 老化や寿命は遺伝的に決められているのではなく,生命の維持に重要な自己増殖(複製)における情報の貯蔵・伝達・発現の過程が,時間がたつにしたがって損傷を受け,まちがいを生じて,秩序が乱れてくることが老化の原因になっているという考え方。…

※「ウェルナー症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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