ウォーカー(John E. Walker)(読み)うぉーかー(英語表記)John E. Walker

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウォーカー(John E. Walker)
うぉーかー
John E. Walker
(1941― )

イギリスの化学者。ハリファックス生まれ。1964年、セント・キャサリンズ大学化学科を卒業。1969年オックスフォード大学で博士号を取得。分子生物学に興味をもち、欧米を遊学した後、1974年イギリスに戻り、イギリス分子生物医学研究所タンパク質・核酸部門のF・サンガー(1958年、1980年のノーベル化学賞を受賞)のもとで研究を始める。1978年にタンパク化学的手法を膜タンパクに適応させて、その構造から酵素の触媒作用メカニズムを解明する研究に着手。1982年イギリス分子生物医学研究所主任教授に就任。1990年代、ミトコンドリア膜に埋まった状態のアデノシン三リン酸ATP合成酵素の三次元構造を、X線結晶構造解析によって明らかにした。この仕事は、P・ボイヤーの提唱した、ATP合成酵素が部分的に回転することで酸化的リン酸化反応を行うとする、構造的作用メカニズムの理論を実際に裏付けることとなり、1997年にノーベル化学賞をボイヤーと共同で受賞した。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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