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南アメリカ北部,ベネズエラを流れる川。全長2060km,流域面積94万4000km2。支流まで含めた流域はベネズエラの国土の75%におよぶ。ギアナ高地南部のブラジルとの国境をなすパリマ山脈南端に源を発し,熱帯雨林地帯を通ってコロンビアとの国境を大きな弧をえがいて北西から北へ向きを転ずる。アンデス山脈からの大支流メタ川,アプレ川を合流したのちしだいに東流し,ベネズエラ中部のリャノと呼ばれるサバンナ地帯を通って大西洋に注ぐ。一般に緩流するため雨季には氾濫しやすく,内陸には沼沢地が多い。河口から約110kmのバランカスより下流では多くの河川に分岐し,広大な湿地性のデルタを形成している。上流のドゥイダ山の南方ではカシキアレ川が分流し,アマゾン川支流のネグロ川に合流してオリノコ水系とアマゾン水系を結ぶ天然の運河となっている。水量が豊富で河口から約1600km上流まで航行可能である。外洋航行船はシウダド・ボリーバル(河口から約435km)まで航行できる。1498年コロンブスの第3次航海の際オリノコ河口が発見され,1560年エル・ドラドを目ざしたスペイン人コンキスタドール,ロペ・デ・アギレが川の大部分を探検したとされる。その後1799年にはドイツの博物学者アレクサンダー・フォン・フンボルトが上流域を調査し,アマゾン川との連絡点を発見したが,源流域が突き止められたのは1950年代になってからである。中・下流域は冬季には北東貿易風の影響で著しく乾燥するが,夏季には多量の雨が降る。このため水量は季節によってかなり変動する。流域では牧畜が主産業であるが,上記の気候条件のために開発には多くの困難を伴う。水産資源に恵まれており小漁船が操業している。下流には鉄鉱石の産地があり,セロ・ボリーバル鉱山は有名。流域は人口が少なく開発がおくれていたが,ダム建設,石油資源の開発によって次第に変貌しつつある。沿岸の中心都市はシウダド・ボリーバル。
執筆者:柳町 晴美
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南アメリカ北部の川。ベネズエラ、ブラジル国境、ギアナ高地のデルガード・シャルボー山(1047メートル)を源流とし、西向きから北向き、さらに東向きと大きく転向し、大西洋に注ぐ。延長2736キロメートル、流域面積94万4000平方キロメートルで、流域はベネズエラとコロンビアにまたがり、本流の一部は両国の国境をなす。その国境の町プエルト・アヤクチョの上流にあって、小舟の遡上(そじょう)限界点になっているアツレスの早瀬より上流を、上流部(アルト・オリノコ)という。上流部の源流より450キロメートルの地点には、アマゾン、オリノコ両水系をつなぐ天然のカシキアレ水路があり、オリノコ川の水の約5分の1が、これを通ってアマゾン川の支流ネグロ川へ分流している。中流部はリャノスとよばれる平原を流れ、下流部で大規模な三角州を形成している。本流上流域や南岸の支流の上流域および三角州地域は、年中多雨の気候であるが、中流域一帯は雨期(5月~10月)と乾期(11月~4月)が顕著なサバナ気候地域である。そのため本流の水位の季節変動は大きく、シウダー・ボリーバルでの最低水位(3月)と最高水位(8月)の差は13メートル余りに達する。北縁部を除き、流域一帯は人口密度が1平方キロメートル当り5人以下の低開発地域である。しかし中流部の北岸には石油(オリノコ油田)やタールサンド、南岸にはセロ・ボリーバル鉱山の鉄をはじめ金、ボーキサイト、マンガンなどの鉱産物があり、流域には有用資源が多い。またギアナ高地からの諸支流は水量が豊かなうえ多くの滝や早瀬をもち、有望な水力資源となっている。すでに支流のカロニ川では大規模な電源開発が行われている。
[松本栄次]
…エクアドルでは前3000年ごろのバルディビア文化以来土器の伝統が長く,チョレラ,グアンガラ,エスメラルダスなどの地方様式が生まれている。 オリノコ川やアマゾン川流域の熱帯低地ではメソアメリカからアンデスにかけての高文化地域に比べ見劣りがするが,バランコイド,マラジョアラ,サンタレンなどの文化伝統のもと,手のこんだ装飾土器が作られた。また16世紀のアマゾン中流部では,彩色土器が作られ,その見事さはスペイン人を驚かせている。…
※「オリノコ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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