精選版 日本国語大辞典 「カレー」の意味・読み・例文・類語
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翻訳|curry
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インドを中心として,中近東から東南アジア,さらに今日では広く世界各国で使用されている混合香辛料,またはその混合香辛料で味付けした料理のことをさす。カリーと呼ぶことも多い。南インドのタミル語やカンナダ語で〈スープの具〉を意味するカリが,料理の名前としてポルトガル語経由で英語に入り,やがて世界中に広まったとされる。インドでは何にでもこの混合香辛料を加えて味付けをするが,暑く湿気の多い地方では,食欲を増進し,消化を助け,殺菌効果をもち,発汗作用を高めるなど,実に自然の摂理にかなった調味料といえよう。
成分としては,黄色い色を出すサフランやターメリック(うこん),刺激性の芳香を得るクミン,フェンネル(ういきょう),コリアンダー(こえんどろ),クローブ(丁子),シナモン(肉桂),カルダモン(しょうずく),ナツメグ(にくずく),辛みを出すペッパー(こしょう),チリ(とうがらし),マスタード(粒からし),ジンジャー(しょうが)などのほか,さまざまな木や草の実,根,葉,樹液,香草の類を加えた100余種にものぼる香辛料の中から,料理に合わせたブレンドがなされるので,必ずしも決まった配合と配合率があるわけではない。各家庭には石臼やカレーストーンと呼ばれる石板と石棒のセットがあって,これで調合した香辛料をごろごろすりつぶしてペースト状にして使うのであるが,最近では既製品のカレー粉が,本場インドでも多く使われるようになってきた。それでも,ブレンドの仕方は地方によって微妙に異なって,各地の味,各民族の味をかもし出している。
日本へは明治の初期に入って以来,急速に人気を得,米飯と組み合わせた独特のライスカレー(カレーライスともいう。英語ではcurry(and)riceまたはcurried rice)として,ハイカラな一品料理の代表となった。夏目漱石の《三四郎》にも1皿60銭で登場するが,最近の調査では,最もひんぱんに作られる家庭料理の筆頭になった。インドで出される甘酢っぱいチャツネ(果実などの香辛料煮)のかわりに福神漬やラッキョウをつけ合わせて,みごとに日本の味になっているといえよう。カレー粉の消費量も,本場インドについで,世界第2位といわれる。西洋料理にも大幅にとり入れられて,ピラフやグラタン,サラダ,スープ,あるいは魚肉料理の風味付けにと,世界各国で広く日常的に使われている。
執筆者:辛島 貴子
フランス北部,パ・ド・カレー県の港湾・工業都市。人口7万8170(1999)。ドーバー海峡に面するカレー港は利用客数においてフランス第1(年間250万人)であるが,隣県の港町ダンケルクとの競合という問題を抱えている。主要業種であるレース製造業はカレーの工業従事者の40%を抱え,フランスの機械織レースの4分の3を産する。カレーの企業の多くはイギリス系である。町は北と南に分かれ,古代ローマ時代からある北部は高級住宅地,商業地,港湾をもつ。19世紀の織物業発達に伴って併合された南部は工場地および労働者住宅地になっている。13世紀以降フランス・イギリス間の交易中継地として発展し,ハンザ同盟都市となった。百年戦争中,イギリス軍に占領された(1347)が,このとき6人の市民がイギリス王エドワード3世の前に出頭して他の市民を救った話は有名で,ロダンの彫刻《カレーの市民》にもなっている。1558年ギーズ公が奪回,16世紀末一時スペイン領となるが,1598年以後フランス領となった。19世紀,レース工業の移入およびカレー~ドーバー間の鉄道の開通により再度発展したが,両次大戦では大被害をこうむった。
執筆者:鈴木 隆
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
フランス,パ・ド・カレー県の都市。ドーヴァ海峡に面し,13世紀にブーローニュ伯によって城塞化されたが,百年戦争中,1347年イングランド王エドワード3世によって占領された。ロダンの「カレーの市民」で有名な英雄的行為はその際の挿話である。町は以後,イギリスの大陸所領の拠点として保有されていたが,1558年ギーズ公フランソワによってフランスに奪還された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…しかし,〈インド料理〉としての共通性は香辛料の多用ということであろう。そしてこれら香辛料で味つけした料理をカレー料理と定義するならば,インド料理のほとんどはカレー料理ということになる。香辛料は釈迦が教えてくれたものという俗説があるが,事実相当古くから使われていたらしく,玄奘の記録にも残されているという。…
※「カレー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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