鬱金(読み)ウコン

デジタル大辞泉 「鬱金」の意味・読み・例文・類語

う‐こん【鬱金】

ショウガ科多年草。高さ約50センチ。根茎は黄色で多肉。バショウに似た長い葉を4、5枚出す。秋、大きな穂を出し、緑白色の葉と数個の淡黄色の花とをつける。熱帯アジアの原産。根茎を黄色染料やカレー粉の原料にし、また漢方止血・健胃薬にする。ターメリック。きぞめぐさ 秋》芭蕉にも思はせぶりの―かな/鬼貫
の一品種。サトザクラの仲間で、花は淡紅色の八重咲き花弁は反り返っており、また皺が寄っている。
鬱金色」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「鬱金」の意味・読み・例文・類語

う‐こん【鬱金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ショウガ科の多年草。また、その根。熱帯アジア原産で、根茎は黄色染料・香料に、また止血・健胃の薬用とする。古くから栽培され、日本では九州の一部と沖縄に自生。地下に黄色の大きな根茎があり、バショウに似た長さ四〇センチメートルほどの長楕円形の葉が出る。秋、葉心から高さ二〇センチメートルあまりの花序を直立し、緑白色の包葉の間に三、四個ずつ淡黄色の小さな花が咲く。ターメリック。きぞめぐさ。

▼うこんの花《 季語・秋 》 〔易林本節用集(1597)〕

  1. [初出の実例]「うこんを。酒に入て鬱暢と名付侍るといへば」(出典:評判記・野郎虫(1660)加川右近)
  2. 染色の一種。の根茎で染めた鮮濃黄色。転じて、そういう色一般。あざやかな黄色。鬱金媒剤によって山吹色、黄丹(こうたん)にもなる。鬱金色。
    1. [初出の実例]「はんなりと細工に染まる紅うこん〈桃隣〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)下)
  3. うこんざくら(鬱金桜)

うっ‐こん【鬱金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うこん(鬱金)
    1. [初出の実例]「鬱金(ウッコン)の花」(出典:俳諧・をだまき(元祿四年本)(1691)四季之詞)
  3. うっこんこう(鬱金香)」の略。
    1. [初出の実例]「幸得良夫憐玉貌、鬱金帳裡薦蛾眉」(出典:文華秀麗集(818)中・奉和春閨怨〈巨勢識人〉)
  4. うこん(鬱金)
    1. [初出の実例]「小さいが持ち重りのする包は大黒像を染めつけたあたらしい鬱金(ウッコン)財布で」(出典:白描(1939)〈石川淳〉六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬱金」の意味・わかりやすい解説

鬱金
うこん

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草ウコンの根茎からとった黄色の染料。粉末はカレー粉の主原料の一つ。わが国には、近世以後シャム(タイ国)、中国、琉球(りゅうきゅう)などより輸入され、「きぞめぐさ」と称されて黄色の染色に用いられた。江戸前期の小袖雛型(こそでひながた)本には「地うこん」と記されたものが多く、当時かなり流行したもののようである。根を粉末状にした「うこん粉」はよく水に溶解するので、そのまま染料として用い、また酸、灰汁(あく)、ミョウバン、鉄などを用いて、種々色相の異なった美しい黄色を染め出す。ただし光線に対する堅牢(けんろう)度が非常に弱いので、緋色(ひいろ)を染めるのに紅の下染めに用いたり、食品(沢庵(たくあん)漬けなど)の色づけや、また特殊な香気を虫が嫌うというので、木綿に染めたものを嬰児(えいじ)の産着に用いたり、道具類や布帛(ふはく)類などの包み布や風呂敷(ふろしき)などに使用したりすることが多かった。今日でも、反物の端に上巻きとしてついている黄色の木綿を「鬱金文庫」というのはその名残(なごり)である。

[山辺知行 2019年6月18日]

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普及版 字通 「鬱金」の読み・字形・画数・意味

【鬱金】うつこん

酒に香をつける草。唐・李白〔客中行〕詩 陵の美酒鬱金香 玉椀り來(きた)る琥珀の光

字通「鬱」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鬱金」の解説

鬱金 (ウコン)

学名:Curcuma domestica
植物。ショウガ科の多年草,園芸植物,薬用植物

鬱金 (ウコン)

学名:Prunus lannesiana
植物。バラ科の落葉高木

鬱金 (ウコン)

植物。カエデ科のオオモミジ系の園芸品種

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世界大百科事典(旧版)内の鬱金の言及

【サクラ(桜)】より

…花弁が100枚から300枚以上にも増加した菊咲きのサクラもあり,兼六園菊桜は金沢の兼六園にあったサクラで,老木になると350枚から380枚の花弁のある花をつけ,一つの花の中にさらにもう一つの花が重なり,いわゆる二段咲きになっている。花色の変わったものもあり,鬱金(うこん)や御衣黄(ぎよいこう)は黄緑色の八重の花が咲く。 春も深まった5~6月になると,ミヤマザクラ(深山桜)P.maximowiczii Rupr.(イラスト)が咲く。…

※「鬱金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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