ギンズバーグ(Morris Ginsberg)(読み)ぎんずばーぐ(英語表記)Morris Ginsberg

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ギンズバーグ(Morris Ginsberg)
ぎんずばーぐ
Morris Ginsberg
(1889―1970)

イギリスの20世紀前半の社会学界を代表する学者。ロンドン大学でホッブハウスの教えを受け、その学統を継いだ。学会誌の編集に活躍し、イギリス社会学会会長、国際社会学会連合副会長を務め、1955年(昭和30)には来日して東京、京都、仙台の諸大学で講演を行った。社会関係の限定された特殊な側面を扱う特殊科学としての形式社会学を否定し、社会における人間の生活全体の一般的諸条件を対象とする総合社会学を提唱した。しかし、それはかつての百科全書的な総合社会学への逆行ではなく、歴史学、社会人類学、社会心理学などの成果も踏まえて、社会生活の諸構成要素間の相互作用の性質を可能な限り実証的な手法を用いて分析し、それによって全体社会を解釈しようとした。思想的にはラスキマッキーバー多元的国家観を踏襲し、人間性の内の合理性と非合理性の葛藤(かっとう)を管理統御して、自由と福祉の増進を目ざす自由主義的ヒューマニストである。主著に『社会学』(1934)がある。

[杉 政孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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