ケイ(John Kay)(読み)けい(英語表記)John Kay

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ケイ(John Kay)
けい
John Kay
(1704―1764)

飛杼(とびひ)(シャットル、シャトル)の発明者。12人兄姉の末っ子としてイギリスのランカシャーに生まれる。近くのベリーの町の織物用の筬(おさ)職人の徒弟に入り、独立後、従来のアシの茎にかわって針金製の筬を発明する。これによって経糸(たていと)の切断が減少して生産性があがり、福音を受けた織工たちに「ケイの筬」として知られるようになった。1733年彼の名を不滅のものとした飛杼を発明する。これは、従来、手で投げ入れていた緯糸(よこいと)用の杼を紐(ひも)で左右に飛ばす画期的なもので、後の力織機出現への道を開く大発見である。性能の優れていることが認められるにしたがい、職を奪われることを心配する織工たちから迫害を受け、1747年にフランスに逃れ、そこで二つの特許をとった。その一つは杼の中に入れるボビンへの糸の巻き方で、これによって緯糸の切断が減少し、飛杼としてのいちおうの完成をみた。イギリスでの飛杼の普及状況視察のため1753年ベリーの自分の家へ戻ったとき暴徒に襲われ、家財や織機を破壊され、かろうじて逃げ出すという災難に遭遇した。

 飛杼はイギリスでは順調に普及していくが、皮肉にも逃避先のフランスではむしろ失敗に終わった。失意と貧困のうちに、だれにも知られることなくフランスで死んだ。1764年没とされているが異説もある。

[篠原 昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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