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ケインズ革命 ケインズかくめい Keynesian revolution

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ケインズ革命
ケインズかくめい
Keynesian revolution

J.M.ケインズがその主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』において主張した新しい経済学は,それまでの理論に対して革命的内容をもたらしたとしてケインズ革命と称されるが,その内容の解釈にはさまざまなものがある。

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デジタル大辞泉の解説

ケインズ‐かくめい【ケインズ革命】

ケインズが著書「雇用・利子および貨幣の一般理論」で唱えた有効需要論流動性選好説によって、経済学の分析手法や思考法が大きく変わり、また、その政策提言が各国で採用され資本主義経済に大きな変革をもたらしたこと。→ケインズ経済学

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世界大百科事典 第2版の解説

ケインズかくめい【ケインズ革命 Keynesian revolution】

イギリスの経済学者J.M.ケインズが1936年に刊行した《雇用・利子および貨幣の一般理論(一般理論)》は,当時支配的であった経済学の考え方を否定して,新しい経済分析の枠組みを展開した。このケインズ経済学が経済学の考え方に与えた影響を,しばしばケインズ革命という言葉を使って表現することがある。もともとは47年に出版されたL.R.クライン《ケインズ革命》から取られた言葉であるが,現在ではたんに経済学の分野だけでなく,広く政治思想社会哲学全体についていわれることもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ケインズ革命
けいんずかくめい
Keynesian revolution

J・M・ケインズがその著作『雇用・利子および貨幣の一般理論』The General Theory of Employment, Interest and Money(1936)によって、経済学の分析・思考方法を大きく変化させ、かつその経済政策の実施によって資本主義経済を変革させた影響を、一括してケインズ革命とよぶ。
 彼による経済学の分析・思考方法の変革の核心については、それを有効需要の原理に求める説と流動性選好説にとるものとがある。[一杉哲也]

有効需要の原理

従来の経済学では、セーの法則を暗黙に前提していたため、失業や恐慌は一時的現象にすぎず、やがて経済の自律性が働いてそれらを調整して完全雇用状態をもたらすと考えていた。これに対して有効需要の原理は、需要の大きさが供給(生産)の大きさを決めるものであり、その需要の大きさがつねに完全雇用を保証するものではないとして、失業・遊休・不況の存在理由が説明されるに至った。この原理はさらに国民所得分析と結び付き、これによって資本主義経済をかなりの程度まで把握できるようになった。また一方において、完全雇用を達成するためには有効需要の不足分を埋めることが必要であり、そのための政策として、低金利政策による投資の刺激や、財政需要の創出などが提案された。こうしたことが有効需要の原理の提起によって可能となったのである。[一杉哲也]

流動性選好説

成熟した資本主義社会では、貯蓄を有価証券か貨幣のどちらかで保有しようとする人々が多数存在するが、高い証券価格のもとでは、将来の値上がりよりも値下がりのほうが予想されるから、値下がりによる資本損失を避けて貨幣の形でもつほうが一般的である。これを流動性選好という。ところで高証券価格とは低利回り(=低利子率)を意味する。けだし証券(たとえば社債)の相場は、その貨幣額で確定した利子を世間相場の利回りで割ることで得られるから、証券価格と利回りとは反比例する。さて不況下では投資の機会は少なく、余った貨幣は高証券価格(=低利回り)を形成している。そこでは、政府が貨幣供給を増加して利子率(利回り)をより低くし投資を刺激しようとしても、貨幣はいたずらに流動性選好によって保有されるだけで、証券購入に向かわず、したがって利子率は下がらない。かくて不況対策としての金融政策は無効となってしまうから、より直接的な刺激策として財政需要とくに財政投資のほうが有効である。このような状態はとくに1930年代のイギリスに典型的にみられたので、イギリス経済に対する診断と処方箋(しょほうせん)として、流動性選好説と財政投資という政策提言は有効であったとみるのである。[一杉哲也]

ケインズ主義

ケインズの政策提言は、第二次世界大戦後に主要国において採用され、成功した。それらの国々は、財政支出の拡大によって有効需要を増大して失業を減らし、逆に景気の過熱時には財政支出削減や増税などによってこれを冷却させ、大きな景気変動なしに経済成長を可能にし、完全雇用を達成した。これらの経済政策のあり方をケインズ主義とよぶが、ケインズ主義もまたケインズ革命の所産である。
 しかし反面、ケインズ主義は、財政規模の拡大、公債依存、インフレーションを招いた。これらに対する批判がマネタリズムの台頭となったが、最近では、ケインズ革命の本質が、流動性選好を中心とする資本主義経済の不安定性にあるとする再評価が盛んである。[一杉哲也]
『L・R・クライン著、篠原三代平・宮沢健一訳『ケインズ革命』(1947・有斐閣) ▽A・レイヨンフーヴッド著、根岸隆監訳『ケインジアンの経済学とケインズの経済学』(1978・東洋経済新報社)』

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世界大百科事典内のケインズ革命の言及

【新古典派経済学】より

…1930年代に行われたJ.ロビンソンやE.チェンバレンの独占的競争理論も,独占の弊害を指摘し,市場が資源配分にバイアスをもたらすことを明らかにしたものの,合理的行動と市場均衡という新古典派の基本仮説を否定するものではなかった。 ところが,J.M.ケインズの《雇用・利子および貨幣の一般理論(一般理論)》は,新古典派からの逸脱であり,ケインズ革命とよばれるにふさわしい出発点であった。そこにおいてケインズは,企業および家計の合理的行動は一部認めつつも,価格の市場調整機能を否定し,短期的には価格よりも生産販売数量のほうが伸縮的であること,および貨幣を含む市場経済においては不均衡現象としての非自発的失業がむしろ常態であることを強調した。…

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