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コンツェルン Konzern

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コンツェルン
Konzern

出資などの資本的連携を基礎とする支配,従属関係によって形成される企業の結合体カルテルトラストなどの発展を前提として生まれた,より高度の独占形態であるが,カルテル,トラストが同一産業内の競争制限を目的としているのに対し,コンツェルンは異なった産業にまたがる企業を含む。親会社が生産合理化などのため子会社をもつことから形成が始まり,子会社がさらに子会社をもつことによってピラミッド形の結合体に成長する。生産会社を頂点として関連産業部門が縦断的に結合する場合と,金融機関あるいは持株会社が多数の企業に出資し,支配関係を確立して成立する場合がある。歴史的には 19世紀の初めにすでにアメリカ合衆国にみられるが,本格的に発達したのは第1次世界大戦後とされる。コンツェルンの代表的な例は,アメリカのモルガン財閥ロックフェラー,日本における第2次世界大戦前財閥などである。

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知恵蔵の解説

コンツェルン

それぞれ独立した企業同士が、カルテル、トラスト、コンツェルンの順で、その実質的独立性を失い、企業集中を強めて統合され、1つのまとまった企業集団へと発展する。コンツェルンとは、この企業集団の司令塔にあたる本社が持ち株会社の形態をとり、支配会社としてその傘下に子会社である従属会社群を置き、本社による統一的指揮の下、支配・従属関係が貫徹したもの。ドイツ株式法第15条によるコンツェルンの定義は、「共通の指揮及び管理のもとにある同種の、法的に独立した企業からなる企業集団、あるいは経済的目的のため単一の経営のもとに総合された、法的に独立した諸企業の集団」。ドイツではコンツェルンによるコンツェルンの統合を含め、M&Aで買収した企業をコンツェルン傘下に収めていくやり方で、その急速な拡大が図られた。一方、戦後の日本では、単一の企業であったものを本社の持ち株会社化、事業部の分社化という形で、独立した企業群に細分化し企業グループ化していった。よって、外見上はドイツのコンツェルンに類似しているが、企業集中という性格は持たない。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

コンツェルン(〈ドイツ〉Konzern)

金融機関または持ち株会社株式保有・融資・人的結合などを通じて各種産業部門の独立企業を統括・支配する独占的巨大企業集団。企業結合の最高の形態。→財閥

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百科事典マイペディアの解説

コンツェルン

異種産業間にまたがる独占企業の結合体。トラストがさらに資本的に結合したもので,独占の最高形態といえる。金融機関などの親会社が中心に存在し,持株支配,重役派遣,融資関係などにより,他企業との独占的結合を強化している。
→関連項目大倉財閥カルテル企業集中国際独占資本シュネーデル・エレクトリック[会社]独占禁止法独占資本森コンツェルン

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

コンツェルン

語源はドイツ語のKonzern。法律上は独立した複数の企業が、1つのグループとして結合する企業形態のこと。資本的な結合や人的結合(役員の兼任や派遣など)がある。典型的な例は、グループ内の諸企業の株を保有する持ち株会社による支配で、戦前の三井住友・三菱などのかつての財閥(戦後解体された)がこれにあたる。

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世界大百科事典 第2版の解説

コンツェルン【concerns】

元来ドイツ語で,強いて訳せば企業の集中ないし連合体になるが,原語がそのまま用いられることが多い。カルテルトラストと並んで企業集中の一形態であるが,トラスト(とくにアメリカのトラスト)とは明確な区分は困難である。コンツェルンは,異なった産業に属する企業が株式所有を通じて結合したコングロマリット的企業集団であり,産業の競争制限を直接の目的にしているとは限らない。むしろ,巨大な集団としての種々の威力によって,個別企業ではもちえない政治力・経済力を背景に行動する場合が多い。

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大辞林 第三版の解説

コンツェルン【Konzern】

独占的金融資本や持ち株会社を中核とし、その支配下に、法律上は独立した多数の各種分野の企業が従属して形成される独占形態。カルテル・トラスト以上に独占の進んだ形態。解体以前の三井・三菱・住友などの財閥の多くはこれに属する。企業連携。 → カルテルトラスト

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コンツェルン
こんつぇるん
Konzernドイツ語

企業結合のうち、異なった業種に属する多数の大企業が資本的に結合した総合的な企業グループをいう。アメリカにおいては利益集団interest groupといわれる結合がこれにあたる。また、日本の財閥はコンツェルンの日本的形態として有名である。コンツェルンは資本的な結合体ではあるが、各所属企業は法律上は独立した法人企業の形態を保っており、これを株式所有、融資、人的結合などの方法により統括している。その統括の形態から大きく次の2種類に分けられる。
(1)持株会社方式によるコンツェルン 傘下の企業の株式を所有し、支配するための持株会社holding companyを統合の中心とするコンツェルンで、わが国の財閥はその典型であった。この場合の持株会社には純粋持株会社と事業持株会社とがある。前者は他に事業を営んでいない持株会社で、後者は他に有力な事業を営んでいる持株会社である。持株会社に基づくコンツェルンは、統括の中核である持株会社を中心として、傘下の企業を一元的に支配する形態であるから、その統制、管理が明確で強固であるという利点をもっている。多くの場合、持株会社である本社は、傘下企業の役職員の任免、重要な投資、新分野への進出などについて統一的な権限をもっている。しかしその反面、総合的な独占体としての活動が外部に明確に表れるので、世人の批判を受けやすい。また、コンツェルン内での自己金融的な傾向が生じ、株式の募集や銀行融資の受入れなど社会的資本を動員吸収する機能が不十分になったり、経営者としての人材を広く求める機会も十分でなくなる傾向が生ずる。したがってこの形態のコンツェルンは、時代の進展とともに、しだいに、よりルーズな次の形態に移る傾向が生ずる。
(2)インタレスト・グループ この方式のコンツェルンは現代アメリカに多い形態で、金融グループといわれる場合もある。支配の中核と所属企業の範囲が明確でなく、株式の相互所有、役員の兼任interlocking directoratesなどの方法によって複雑な結合関係を保った企業グループである。持株会社に基づくコンツェルンに比べると、統一した経営体としての行動をとりにくくなり、グループに属する企業が独自性を強めたり、他のグループに移動したり、または、他のグループとの共同支配企業が生ずるなど、流動的で複雑な構造をもっている。反独占政策が強化される一方、技術変革の進展による産業構造の変化によって、剛構造的な構造をもつ持株会社方式によるコンツェルンよりも、弾力的な結合体であるインタレスト・グループのほうが適応しやすく、しだいにこの方向へ移行する傾向が生じている。日本の企業集団は、戦前における剛構造的な財閥コンツェルンから、戦後、より柔軟なインタレスト・グループ的形態への変化を示した好例である。
 本来、コンツェルンという語がドイツ語であることから推察されるように、20世紀初頭からのドイツにおいては、有名なスティンネス・コンツェルンをはじめ、化学工業のイー・ゲー・ファルベン・コンツェルン、鉄鋼・兵器工業のクルップ・コンツェルン、鉄鋼産業のマンネスマン・コンツェルンなど多数の巨大コンツェルンの形成をみた。これらのコンツェルンは、第二次大戦後、連合国の独占解体政策によって分割されたが、西ドイツ経済の復興に伴い、多くのコンツェルンが復活再編成されるに至っている。
 アメリカにおいては、持株会社に基づくコンツェルンなどのような剛構造体よりも、より緩やかな結合体としてのインタレスト・グループの形態をとっている場合が多いが、モルガン・グループ、ロックフェラー・グループ、メロン・グループ、シティバンク・グループなど巨大グループによる経済力集中が際だっている。その性格からいうと、モルガン・グループのような金融機関を中心とした金融グループと、スタンダード系石油会社を中心とするロックフェラー・グループのように産業コンツェルンの性格を有するものとがある。
 このように、コンツェルンは、多数の巨大企業を支配する総合的企業結合体として、現代経済において無視することのできない大きな力をもっている。もちろん、カルテルやトラストなど同業種に属する企業の水平的結合と異なり、異業種間企業の結合体であるから、それ自体が独占的結合としての性格をもっているわけではない。しかし、巨大な企業グループとしての経済力は、集合的な威力を有し、他の単独企業にはない経済的実力を発揮する。したがって、そのグループとしての資本力、技術開発力、市場開拓の力などの優越した経済力は、市場において単独企業を圧迫したり、新分野への進出についてもより有利となるなど、いわゆる参入阻止力としての独占力を有している。
 このように、コンツェルンは企業結合の最高の形態とされ、銀行や保険会社など金融機関や、巨大な製造会社を多数擁している場合が多く、金融独占資本の具体的形態とされる。しかし、その巨大で総合的な経済力が発揮される場合の弊害をいかに防止するかの面においては、独占禁止政策上、有効な規制方法がなく、今後の政策上の課題とされている。[御園生等]
『有沢広巳・美濃部亮吉編『経済学全集47・48 カルテル・トラスト・コンツェルン』(1931・改造社) ▽上林貞治郎・井上清・儀我壮一郎著『現代企業形態論』(1962・ミネルヴァ書房) ▽平和経済計画会議独占白書委員会編『国民の独占白書2 企業集団』(1978・御茶の水書房)』

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世界大百科事典内のコンツェルンの言及

【企業】より

…(b)企業合同は,各企業が独立性を放棄して,完全に一体となって結合する形態で,市場統制を目的として形成される企業合同がトラストである。(c)コンツェルンは,独立したいくつかの企業が資本的に強く結合している企業集中の形態である。さらに企業集中が進むと,その形態も発展し,企業グループがさまざまな形をとって多角的に形成されるようになる。…

【持株会社】より

…このピラミッドの頂点にある最高持株会社は,子会社を直接支配するだけでなく,孫会社以下の全傘下企業を間接的に支配する。多産業にわたって構成されたピラミッド型支配構造がコンツェルンであり,同一産業内のそれがトラストである。持株会社による企業集中は,アメリカではコモン・ローによって違法とされた受託者トラストに代わる形態として,19世紀末から20世紀初頭にかけて盛んに行われたが,1914年のクレートン法(アンチ・トラスト法)によって設立に制限が設けられた。…

※「コンツェルン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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