ゴンドワナ大陸(読み)ゴンドワナタイリク(英語表記)Gondwanaland

デジタル大辞泉 「ゴンドワナ大陸」の意味・読み・例文・類語

ゴンドワナ‐たいりく【ゴンドワナ大陸】

Gondwana古生代から中生代前半にかけて、南半球に広がっていたと考えられる大陸。その後分裂・移動して現在の南アメリカアフリカオーストラリア・南極・インドなどになったとされる。

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精選版 日本国語大辞典 「ゴンドワナ大陸」の意味・読み・例文・類語

ゴンドワナ‐たいりく【ゴンドワナ大陸】

  1. 古生代後期から中生代にかけて、南半球にあった超大陸。その後分断と移動により、現在のインド、アフリカ、南アメリカ、南極大陸、オーストラリアなどが形成されたと考えられている。グロッソプテリスなどを含む植物化石群で特徴づけられる地層が共通に分布する。オーストリアの地質学者ジュースが命名し、ドイツの気象学者ウェゲナー大陸移動説によって説明した。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴンドワナ大陸」の意味・わかりやすい解説

ゴンドワナ大陸 (ゴンドワナたいりく)
Gondwanaland

約3億年前の古生代後期から約1億年前の中生代半ばころまで,南半球を中心に存在したと推定される超大陸をいう。この大陸はその後分離移動して現在のアフリカ,南アメリカ,オーストラリア,南極大陸,マダガスカル,インドなどを形成したものとほぼ確定的に考えられている。ゴンドワナ大陸の北側には,テチス海古地中海)をへだててローラシア大陸Laurasiaがあった。古生代前半や先カンブリア時代にゴンドワナ大陸とローラシア大陸とは一連の陸地を形成していたと推定されており,この超大陸をパンゲアと呼んでいる。ゴンドワナ大陸の名前は,インドの中央部東寄りの地域に昔ゴンド族がつくっていた王国に由来する。この地域には石炭を含む下部二畳系から下部白亜系にわたる厚さ数千mに及ぶゴンドワナ系が広く分布し,堆積条件の著しく異なる四重の地層に分けられている。最下位に位置するのが大氷河時代(約2億5000万年前)に堆積したことを示す漂礫(ひようれき)岩層,その上に石炭を含む地層があり,グロッソプテリス植物群の化石を産する。第3番目にくる地層は哺乳類型爬虫類の化石を含み,第4番目の地層は場所によっては砂漠的となり,また広大な玄武岩の噴出が起こったことを示している。インドに続きオーストラリアから,それに続いて南アフリカからもドワイカ(漂礫岩層),エッカ(含炭層),ボーフォート(含哺乳類型爬虫類層),ストームバーグ(含玄武岩層)の四重の地層が発見され,かくも広大な大洋で分離された諸大陸に,かくも相似た四重の地層が分布するのは,いかに解釈すべきかと問題になった。また,南アメリカ東岸とそれに相対する南アフリカ西岸とで,先カンブリア時代の岩石年代や構造がよく一致すること,両者に共通の化石を含む古生代の淡水湖成層が分布すること,古地磁気による古緯度復元がよく一致することなども判明した。陸橋説大陸移動説などを経て,現在ではプレートテクトニクスによってゴンドワナ大陸の分裂と移動が説明されるようになった。

 ゴンドワナ大陸を特徴づけるのは舌状単葉で網状脈をもったグロッソプテリス類が全体の9割も占めるグロッソプテリス植物群(またはゴンドワナ植物群Gondwana flora)で,北半球の多種多様な植物で構成されている植物群とは根本的に異なり,きびしい環境の下に出現したことを暗示している。共に産するものとして大葉類PalaeovittariaGondwanidium,有節類のSchizoneura,楔葉類のTrizygiaSphenophyllum),針葉樹類のNoeggerathiopsisなどがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンドワナ大陸」の意味・わかりやすい解説

ゴンドワナ大陸
ごんどわなたいりく
Gondwanaland

古生代後期から中生代にかけて南半球に存在していた、現在の南アメリカ、アフリカ、インド、南極、オーストラリアなどからなる超大陸。ジュースがこれら諸大陸の地層の類似性から命名し、ウェゲナーがそれを大陸移動説によって説明した。論拠は、各大陸とも共通して次のような現象がみられることである。古生代末の氷河作用によるティライト(氷礫(ひょうれき)岩)や石炭層が存在する。グロッソプテリスなど特徴的な植物化石を主体とするゴンドワナ植物群が産出する。動物群も同様で、現在でも肺魚などこの超大陸独特の動物が南半球に生息している。超大陸を復原してみると、造山帯などの地質構造がよく連続し、岩石の放射年代もつなぎ目でよく一致する。

 ゴンドワナ大陸の地史は次のようにまとめられる。約3億5000万年前には一つの超大陸パンゲアが存在していた。パンゲアは北半球のローラシア(ユーラメリカ)とゴンドワナに分かれていて、両者の間の海がテチス海である。1億8000万年前になると、アフリカ‐南米地塊、南極‐オーストラリア地塊、インドに三分され、大西洋が開き始め、インドは北進を始めた。その後、南極とオーストラリアが分離し、インドはユーラシアと衝突してヒマラヤ山脈が形成された。

[岩松 暉 2016年2月17日]


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百科事典マイペディア 「ゴンドワナ大陸」の意味・わかりやすい解説

ゴンドワナ大陸【ゴンドワナたいりく】

古生代後期〜中生代に南半球にあったと考えられる広大な大陸。南米,アフリカ,マダガスカル,インド半島,オーストラリアなどは,グロッソプテリスやガンガモプテリスと呼ぶ古生代後期の特異な植物化石や,それを含む地層に共通性があり,当時一つの大陸をなしていたと推定された。ウェゲナーは中生代以後この大陸が分裂・移動してインド洋や南大西洋が生まれたと考えた。
→関連項目アフリカアンガラ大陸インドギアナ高地デカン高原テチス海

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴンドワナ大陸」の意味・わかりやすい解説

ゴンドワナ大陸
ゴンドワナたいりく
Gondwanaland

中生代ジュラ紀前期から白亜紀後期にかけて南半球に広がっていたと考えられる大陸。今日のオーストラリアやインド,アフリカ,南アメリカ,南極などの地域には,ゴンドワナ系と呼ばれる陸成層が発達し,グロッソプテリスで代表されるゴンドワナ植物群や,陸生の動植物の化石が発見され,当時この地域が一つの大陸をなしていたと推定されている。海洋底拡大説では,ゴンドワナ大陸内にマントル対流の湧出口を生じ,マントル対流に乗って各大陸は分離したと考えられている。大陸移動説の提唱者であるアルフレッド・ロタール・ウェゲナーは,全大陸が一つになったパンゲアを考えたが,のちの研究者により,北にある巨大大陸をローラシア大陸,南にある巨大大陸をゴンドワナ大陸と分けるのがよいとされた。

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世界大百科事典(旧版)内のゴンドワナ大陸の言及

【アラビア半島】より

…長さ約2300km,幅1200~1800km,面積約259万km2
[地質,地形]
 アラビア半島は,地質時代の古生代から中生代にかけて,アフリカ大陸,オーストラリア大陸,インド半島などともつながって存在していた,いわゆるゴンドワナ大陸のなごりの陸塊で,全般に台地状である。陸塊の基盤をなすのは始原代の堅固な花コウ岩,片麻岩であるが,古生代以降の長い地質時代を通じて陸塊は緩やかな昇降運動をくりかえしたため,沈降期の海進によって,基盤岩の上には砂層などの古生代以降の地層がほとんど水平の状態で堆積している。…

【インド洋】より

…その多くは基盤が大陸型地殻であって,太平洋におけるように火山岩のものは,西オーストラリア海盆でC.ダーウィンが発見したココス環礁など少数である。
[地質構造と地史]
 インド洋はアフリカ,南アメリカ,南極,オーストラリア,インドなどがひと塊となって形成していたゴンドワナ大陸が分裂したあとにできたものと考えられている。数多くの島や海嶺が大陸型地殻をもっているのは,分裂後に残された大陸の残片と考えられる。…

※「ゴンドワナ大陸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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