サリチル酸(読み)サリチルさん(英語表記)salicylic acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

サリチル酸
サリチルさん
salicylic acid

C7H6O3 。天然にはエステルとして植物精油 (冬緑油や白樺皮油など) 中に存在し,フェノールと炭酸ガスから工業的につくられる。無色針状結晶。融点 159℃。水に溶けて酸性を示す。サリチル酸の誘導体にはアセチルサリチル酸 (アスピリン) や,サリチル酸メチルのように解熱剤,鎮痛剤になるものがある。また,魚の目などに用いるスピール膏に添加されている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

サリチル酸

酸性の有機化合物で、アスピリンなど解熱、鎮痛作用の医薬品や防腐剤などに利用されている。ショックや肝障害、白血球の減少といった副作用の恐れがある。中毒症状としては、呼吸障害や嘔吐(おうと)が起きる。多量に摂取すると混迷、昏睡(こんすい)を引き起こし、中毒死亡例の報告もある。成人で20グラム以上飲むと危険とされる。例えば市販のアスピリンなら、数十錠飲むと致死的な量になる。効果はアルコール類で相乗される。

(2006-05-18 朝日新聞 朝刊 1総合)

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百科事典マイペディアの解説

サリチル酸【サリチルさん】

オルトヒドロキシ安息香酸の別名。無色の結晶。融点159℃,沸点211℃(20mmHg)。水に可溶エチルアルコールエーテルに易溶。塩化第二鉄塩水溶液で紫色を呈する。フェノールのナトリウム塩に二酸化炭素を加圧下で反応させてつくる。防腐剤,染料中間体,医薬原料などとして重要。たとえば,アセチル化すればアセチルサリチル酸(商品名アスピリン)。清酒,酢などの食品防腐剤として使用されていたが,現在は食品添加物としての使用は禁止。(図)

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世界大百科事典 第2版の解説

サリチルさん【サリチル酸 salicylic acid】

芳香族有機酸の一つ。o‐ヒドロキシ安息香酸にあたる。天然にはエステルの形で,ウィンターグリーン油(冬緑油)やシラカバ皮油など植物精油中に存在する。無色の針状結晶で,融点159℃,沸点211℃(20mmHg)。減圧下で昇華する。急熱するとフェノールと二酸化炭素とに分解する。エチルアルコール,エーテルなどに易溶,水,ベンゼンに可溶。塩化鉄(III)で紫色を呈する。1861年にA.W.H.コルベが初めて合成に成功したもので,工業的には,ナトリウムフェノキシドを加熱融解し,加圧下に二酸化炭素を反応させるコルベ=シュミット反応により製造する。

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大辞林 第三版の解説

サリチルさん【サリチル酸】

昇華性のある無色針状結晶の有機物質。化学式 C6H4(OH)COOH 医薬・防腐剤に用いるほか、各種アゾ染料の中間原料となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サリチル酸
さりちるさん
salicylic acid

化学式はC6H4(OH)COOHで、o(オルト)-ヒドロキシ安息香酸の別名。

 加熱・加圧下でナトリウムフェノキシドと二酸化炭素を反応させて製造する。この反応をコルベ‐シュミットKolbe-Schmitt反応という。分子量138.1、融点159℃。無色の固体で昇華性をもつ。カルボン酸の一種で酸性(解離定数K1=1.55×10-3)を示し、フェノールのヒドロキシ基をもつので塩化鉄()溶液により紫色を呈する。医薬品のほか香料や染料の合成原料として用いる。[廣田 穰]

薬用

殺菌剤、角質軟化剤として用いる。解熱鎮痛消炎作用をもつが、内服や注射にはサリチル酸ナトリウムが用いられ、サリチル酸そのものは消化器障害が著しいため内服には用いられず、外用のみである。うおのめ、いぼとりに用いられるサリチル酸絆創膏(ばんそうこう)には50%含有され、白癬(はくせん)(水虫)や乾癬など皮膚糸状菌症には2~10%の軟膏や塗布液が用いられる。また脱毛症や腋臭(えきしゅう)症(わきが)、汗疹(かんしん)(あせも)などの治療剤にも配合されている。[幸保文治]

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精選版 日本国語大辞典の解説

サリチル‐さん【サリチル酸】

〘名〙 (サリチルはsalicyl)⸨サルチルさん⸩ カルボン酸の一つ。化学式 C6H4(OH)COOH 無色で昇華性の単斜晶系針状結晶。媒染アゾ染料、直接染料の中間体として重要であるほか、防腐剤、外用皮膚薬などに用いられる。O‐ヒドロキシ安息香酸。サリシル酸。〔時事新報‐明治二〇年(1887)一一月八日〕

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