ジンメル(英語表記)Simmel, Georg

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ジンメル
Simmel, Georg

[生]1858.3.1. ベルリン
[没]1918.9.26. ストラスブール
ドイツの哲学者,社会学者。ベルリン大学哲学,心理学,歴史学を学び,1885年ベルリン大学の哲学講師になったがユダヤ系であったため,1914年ストラスブール大学の正教授に招聘されるまで不遇の地位にあった。社会の成立は人々の間の心的相互作用にあり,いわゆる「社会化の形成」を追究することが社会学の主務であるとして形式社会学を創始したが,後年に研究を一般社会学,哲学的社会学の2部門に広げることにより,単なる形式社会学の埒内にとどまらなかった。資本主義社会における政治,経済,美学などの諸活動の相互作用に関心をもち,特に権威と服従の相互関係を解明しようとした。ドイツにおいて社会学を社会科学として確立するのに功績があった。著書『社会的分化論』 Über soziale Differenzierung (1890,2nd ed.1966) ,『貨幣の哲学』 Philosophie des Geldes (1900,6th ed.58) ,『社会学』 Soziologie (08,4th ed.58) ,『社会学の根本問題』 Grundfragen der Soziologie (17) ほか多数。

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百科事典マイペディアの解説

ジンメル

ドイツのユダヤ系哲学者,社会学者。長くベルリン大学私講師の地位にとどまり,不遇の研究生活を送った。ディルタイベルグソンとならぶ〈生の哲学〉の代表者にして〈形式社会学〉の提唱者。文化形象(形式)と生の相克・乖離に〈文化の悲劇〉を見て,その諸相を驚くべき博識と洞察をもって分析した。著書《貨幣の哲学》(1900年),《哲学の根本問題》(1910年),《社会学の根本問題》(1917年)ほか。
→関連項目ウィーゼ社会学小集団高田保馬

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世界大百科事典 第2版の解説

ジンメル【Georg Simmel】

1858‐1918
ドイツの哲学者,社会学者。ベルリン生れ。父は裕福なユダヤ人の商人。ベルリン大学で歴史,民族心理学,哲学を修めたのち,23歳で哲学博士となる。27歳で同大学哲学部の私講師,42歳でようやく員外教授となるが,56歳でシュトラスブルク大学正教授に転ずるまでの間,恵まれない地位にとどまった。彼がユダヤ人であったこと,正教授ディルタイとの確執などが災いしたといわれる。 ジンメルは,一方でディルタイ,ベルグソンとともに〈生の哲学〉者として名高い。

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大辞林 第三版の解説

ジンメル【Georg Simmel】

1858~1918) ドイツの哲学者・社会学者。社会的実在を内容と形式に分け、諸個人間の心的相互作用の一般形式を独自の対象とする形式社会学を基礎づけた。また、生の哲学の立場から、繊細かつ多彩な分析で道徳・芸術・文学の問題を論じた。著「歴史哲学の諸問題」「貨幣の哲学」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジンメル
じんめる
Georg Simmel
(1858―1918)

ドイツの哲学者、社会学者。改宗したユダヤ人を両親として、ベルリンに生まれる。同地の大学で哲学、歴史、美術史、民族心理学などを学ぶ。1885年に教授資格を得るが、1901年ようやく員外教授に任命され、以後長くその地位にとどまった。またストラスブール大学に正教授の席を得たのは、同地で没するわずか4年前であり、不遇の研究生活を送った。
 生の哲学者として、ニーチェ、ベルクソン、ディルタイらと並び称されるが、既存の主知主義的、理性主義的、機械論的世界観に対し、生きた生を生自身から了解しようと独自の生の形而上(けいじじょう)学を展開した。生は、流動する生と結晶体の生とを本質的に対等のものとして含む「より以上の生」Mehr-Lebenであり、またそのために「生より以上のもの」Mehr-als-Lebenであり、「超越の内在」Immanenz der Transzendenzを本質とする。芸術や歴史についての彼の多様な哲学的研究は、この根本見地に貫かれている。また相対主義的な立場から、社会化の形式の体系化を目ざす形式社会学の創始者となった。後期には神秘主義、ことにエックハルト、それに新ロマン派の影響があるといわれるが、それも含めて、彼の包括的研究は今後にまたなければならない。主著に『歴史哲学の諸問題』(1892)、『哲学の根本問題』(1910)、『人生観』(1918)がある。[小田川方子]
『生松敬三・木田元他訳『ジンメル著作集』全12巻(1975~1981/新装復刊版・2004・白水社)』

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世界大百科事典内のジンメルの言及

【個人主義】より

…個人主義においては,それは,個人が理性的存在である,もしくは個性的存在である,という認知である。そこでジンメルは,理性という普遍的な性能の保持者としての個人を尊重する量的個人主義と,ひとりひとりの個人がになっているかけがえのない個性を尊重する質的個人主義という,二つの類型を構成した。前者を啓蒙主義的個人主義,後者をロマン主義的個人主義と呼ぶこともできよう。…

【社会関係】より

…これらの接触をとおして互いに影響を与えあい,この相互作用が反復されることによって,互いの期待にこたえるように行動を規制しあっているとき,社会関係が成立しているという。社会関係に最初に着目したのはG.ジンメルである。彼は社会の過程的・機能的側面を重視して,個々の人間関係に現れる心理的作用の様式(心的相互作用seelische Wechselwirkung)を論じた。…

【社交】より

…文字どおりには,人と人とのつきあい,社会での交際,世間のつきあいを意味するが,社会学的な観点からは,社会を成り立たせる原点としてとらえられる。たとえば,社会学者のG.ジンメルは,諸個人間の相互作用によって集団や社会が生成される過程,すなわち社会形成過程(社会化Vergesellschaftung)に関して,その形式における純粋型を想定し,それに〈社交性Geselligkeit〉という概念を当てた。またG.ギュルビッチは,社会的現実を構成する要素として,〈社交性sociabilité〉,すなわち社会的交渉形態を考えた。…

【生の哲学】より

…20世紀前半を代表する哲学の一分野で,実存の哲学の前段階を成す。理性を強調する合理主義の哲学に対し,知性のみならず情意的なものをも含む人間の本質,すなわち精神的な生に基づく哲学が〈生の哲学〉であり,ベルグソン,R.オイケン,ディルタイ,ジンメル,オルテガ・イ・ガセットなどを代表とする。その先駆は,18世紀の啓蒙主義に対してルソー,ハーマン,F.H.ヤコビ,ヘルダー,さらにはF.シュレーゲル,ノバーリスなどが感情,信仰,心情,人間性の尊重を,またメーヌ・ド・ビランやショーペンハウアー,ニーチェなどが意志の尊重を説いたことにさかのぼる。…

【秘密結社】より

…いずれにせよ,すでに述べたように,危機が一過性のものであれば,それに応じて秘密結社も一過的に盛衰する。しかし,G.ジンメルがその《社会学》第5章〈秘密と秘密結社〉において指摘したように,たとえある秘密結社が現実の目的を達成して社会に公開されても(たとえば革命後のボリシェビキ),これとすれ違いにかつての中央権力が没落して秘密結社化するので,秘密そのものの存在は恒久的に存続する。
[入社式団体の特質]
 このように政治史の文脈に沿って浮沈する政治的秘密結社に対して,入社式団体はむしろ精神史の文脈において消長を遂げる。…

※「ジンメル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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