スカンジウム

デジタル大辞泉 「スカンジウム」の意味・読み・例文・類語

スカンジウム(scandium)

希土類元素の一。単体灰白色の金属。空気中では暗灰色になる。1879年スウェーデンのニルソンが発見、スカンジナビアにちなんで命名元素記号Sc 原子番号21。原子量44.96。

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精選版 日本国語大辞典 「スカンジウム」の意味・読み・例文・類語

スカンジウム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] scandium ) 希土類元素の一つ。元素記号 Sc 原子番号二一。原子量四四・九五五九一。淡灰白色で、六方晶系のα(アルファ)型と等軸晶系のβ(ベータ)型の二つの変態がある。一八七一年メンデレーエフが存在を予言、七九年スウェーデンのニルソンがガドリン石中から発見。天然にはトルトバイタイトとして存在。鉄マンガン重石、ユークセン石、ウィーカイトなどにも含まれる。〔稿本化学語彙(1900)〕

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化学辞典 第2版 「スカンジウム」の解説

スカンジウム
スカンジウム
scandium

Sc.原子番号21の元素.電子配置[Ar]3d14s2の周期表3族金属元素.希土類元素イットリウム族の一つ.原子量44.955912(6).質量数45(100%)の安定同位体と,質量数36~60の放射性同位体が知られている.1879年,L.F. Nilsonがガドリン石中から発見し,すぐに,D.I. Mendeleev(メンデレーエフ)の予言したエカホウ素と同一物であることがわかった.元素名はスカンジナビアのラテン語Scandiaから命名.スカンジウムの鉱物には,トルトベイト石Sc2Si2O7がある.地殻中の存在度30 ppm で広く分布しているが,鉱石の品位は低い.タングステン,ウラン製錬の副産物として得られる.希土類中,もっとも高価.主要生産国は中国,カザフスタン,ロシア,ウクライナ.金属は銀白色で2種の変態α(六方最密),β(立方最密, > 950 ℃)がある.融点1541 ℃,沸点2831 ℃.密度2.989 g cm-3(20 ℃).酸化数3.標準電極電位 Sc3+/Sc-2.03 V.第一イオン化エネルギー6.54 eV.アルミニウムに類似した性質を示すが,希土類元素に分類される.Sc2O3,ScX3,ScOXなどの化合物およびオキソ酸がある.Sc2O3nH2Oは両性化合物.スカンジウム化合物の塩基性は,イットリウムやランタンなどより弱いため,加水分解しやすく,OHブリッジをもったポリマーをつくる.溶液中では,ScCl2やScCl2+などの錯イオンもあり,いわゆる複塩として,K2SO4・Sc2(SO4)3nH2Oなども生じる.希土類元素と同様に,フッ化物,シュウ酸塩などは水に難溶.旧ソ連で開発された軽くて強力なSc-Al合金は,旧ソ連時代はMIG戦闘機など航空機,弾道ミサイル・ノーズコーン用材料であったが,ソ連解体後,軽量小火器,金属バット,軽量テントフレーム,レース用自転車フレーム材などとして使われている.ScI3[CAS 14474-33-0]はメタルハライドランプ,水銀ランプを昼光色に調整するために封入される.[CAS 7440-20-2]

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改訂新版 世界大百科事典 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説

スカンジウム
scandium

周期表第Ⅲ族に属する希土類元素の一つ。1879年スウェーデンのニルソンL.F.Nilsonは,ガドリン石から得た酸化物の最も塩基性の弱い部分から新しい元素を発見し,スカンジナビアScandinaviaにちなんで命名した。これは間もなくD.I.メンデレーエフの予言したエカホウ素と同じものであることがわかった。主要鉱石はトルトバイタイトで,そのほか鉄マンガン重石,ユークセン石などにも比較的多く含まれている。現在スカンジウムの主要供給源はスズ-タングステン鉱で,タングステン製錬の副産物として得られる。単体は,無水塩化物を塩化ナトリウムなどと融解塩電解して得られる灰白色の軽い金属。室温でのα型(六方最密格子)と高温でのβ型(面心立方格子)の2変態がある。酸に溶け,3価の塩をつくる。酸化物は希土類元素中塩基性が最も弱く,アルミニウムと同程度である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説

スカンジウム
すかんじうむ
scandium

周期表第3族に属し、希土類元素の一つ。1879年、スウェーデンのL・F・ニルソンがガドリン石の中に発見し、スカンジナビアにちなんで命名した。その性質は、メンデレーエフが周期律によって存在を予言したエカホウ素とよく一致した。遊離状態では存在しない。主要鉱石はトルトバイタイト。地球上に広く分布し、他の金属の鉱石に不純物として含まれるので、その精錬に際し副産物として回収される。銀白色の金属。室温ではα(アルファ)型であるが、1335℃以上ではβ(ベータ)型となる。空気中で表面が酸化されるが、熱すると無色の酸化物を生じる。熱水、酸に溶け、酸化数+Ⅲの塩をつくる。酸化物の塩基性は希土類元素中もっとも弱く、アルミニウムと同じぐらいである。

[守永健一]



スカンジウム(データノート)
すかんじうむでーたのーと

スカンジウム
 元素記号  Sc
 原子番号  21
 原子量   44.9559
 融点    1540℃
 沸点    2830℃
 比重    2.989(測定温度25℃)
 結晶系   α;六方 β;立方
 元素存在度 宇宙 33(第33位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 22ppm(第30位)
       海水 0.6×10-3μg/dm3

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説

スカンジウム
scandium

元素記号 Sc ,原子番号 21,原子量 44.955910。周期表3族に属する。 D.メンデレーエフによって予言,エカホウ素と命名された元素で,1879年スウェーデンの化学者 L.ニルソンがガドリン石から発見した。スカンジナビアという地名にちなみスカンジウムと命名。主要鉱物はソルトベイト石であるが,スズ鉱,タングステン鉱に伴い産出することもある。地殻平均含有量 17ppm,海水中の存在量 0.004 μg/l 以下。通常希土類元素の一つにみなされるが,地球化学的には必ずしも行動をともにするわけではない。単体は淡灰色の金属,比重 3.02~3.20,融点約 1400℃。酸に可溶。化学的性質は希土類元素に類似,塩基性は最も弱い。

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百科事典マイペディア 「スカンジウム」の意味・わかりやすい解説

スカンジウム

元素記号はSc。原子番号21,原子量44.955908。融点約1539℃,沸点2831℃。希土類元素の一つ。1879年L.F.ニルソンが発見。淡灰白色の金属。酸に可溶。
→関連項目レアアース

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