スケ(読み)すけ

改訂新版 世界大百科事典 「スケ」の意味・わかりやすい解説

スケ (すけ)

歌舞伎用語。狂言作者役者,竹本の太夫などで,地位の高い実力者が,〈助人(すけつと)〉の資格で一座に加わった場合,番付や看板の連名に,その者の肩書に付ける用語。したがって,意味の軽い補助作者,助演者の類ではない。作者の場合,合作制の作者グループに,立役者と同等もしくはそれ以上の作者が加わっているとき,客座に据えて名の右肩に〈スケ〉と明記した(特にスケの文字は用いないこともある)。役者の場合,年間契約で他座に属しているスター役者が何らかの事情でその興行だけ一座に特別加入するとき,やはり〈スケ〉と肩書して特別扱いをする。例えば,1783年(天明3)森田座顔見世興行の座組に,4世岩井半四郎がスケとして出勤した。この年度の半四郎は中村座と契約していたが,たまたま火災のため中村座が興行できなかったため,当興行だけ乞われて,女方が弱体だった森田座に加入出演したのである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスケの言及

【ゆい(結)】より

…かつてはこのように,労働力の提供とそれに対するさまざまな反対給付という形で結ばれた本家末家的ユイが基本であり,それに加えて分家や従属農民が互いに結ぶ小農的ユイが併存していたといえよう。近世になり後者のみがユイと呼ばれるようになり,本家末家的ユイはヤトイとかスケ,テツダイと呼ばれるようになったものと考えられている。それ以降のユイにあっては,労働力の提供に対しては同じ量の労働力で返すのが原則であるが,家々の間で経営形態や規模に大きな相違が出てくると,牛馬等の家畜の提供に対し,人間の働き手が行くとか,さらに労働の提供に対し物資,ときには金銭で返すユイも行われるようになった。…

※「スケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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