改訂新版 世界大百科事典 「スケ」の意味・わかりやすい解説
スケ (すけ)
歌舞伎用語。狂言作者,役者,竹本の太夫などで,地位の高い実力者が,〈助人(すけつと)〉の資格で一座に加わった場合,番付や看板の連名に,その者の肩書に付ける用語。したがって,意味の軽い補助作者,助演者の類ではない。作者の場合,合作制の作者グループに,立役者と同等もしくはそれ以上の作者が加わっているとき,客座に据えて名の右肩に〈スケ〉と明記した(特にスケの文字は用いないこともある)。役者の場合,年間契約で他座に属しているスター役者が何らかの事情でその興行だけ一座に特別加入するとき,やはり〈スケ〉と肩書して特別扱いをする。例えば,1783年(天明3)森田座の顔見世興行の座組に,4世岩井半四郎がスケとして出勤した。この年度の半四郎は中村座と契約していたが,たまたま火災のため中村座が興行できなかったため,当興行だけ乞われて,女方が弱体だった森田座に加入出演したのである。
執筆者:服部 幸雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報