翻訳|sol
液体中に微粒子の分散質(コロイド粒子、粒径が0.1マイクロメートル程度)が分散し、かつ流動性を保持しているものをいう。分散媒が水のものはヒドロゾルという。固体や液体の微粒子が空気その他の気体の分散媒に分散、浮遊している系もゾルに含めることがあるが、こちらはむしろエーロゾル(浮遊微粒子、煙霧質。エアロゾルともいう)として区別することが多くなった。ゾルがところてんやゼラチンのようにゼリー状に固化したものをゲルという。なお、ゾルはドイツ語読みで、英語ではソルという。通常の溶液と異なる性質をいろいろと示すが、チンダル現象などは顕著なものの一つである。
[山崎 昶]
『近藤保・鈴木四朗著『入門 コロイドと界面の科学』(1994・三共出版)』▽『北原文雄著『界面・コロイド化学の基礎』(1994・講談社)』
金コロイド,ポリスチレン・ラテックスの分散系のように,固体の分散粒子が液体の分散媒に浮遊するコロイド分散系で,流動性に富む場合をゾルといい,流動性に乏しく重力に抗して形状を維持できる場合をゲルという。水を分散媒とするものをヒドロゾルhydrosol,ベンゼンや植物油など有機溶媒を分散媒とするものをオルガノゾルorganosolという。ヒドロゾルのうち,金や酸化鉄のゾルのように,比較的不安定で微量の電解質の添加により容易に凝結するものを疎水性ゾルhydro-phobic solといい,ゼラチン水溶液のように,非常に安定で大量の電解質の添加によって初めて塩析されるものを親水性ゾルhydrophilic solという。疎水性ゾルは分散粒子の表面荷電間の静電反発力により安定化されているのに対し,親水性ゾルは水と強い親和性をもち,分散粒子表面に水和層が発達し安定化される。ゼラチンや寒天などの水溶液は高温ではゾルであるが,冷却するとゲルになり,熱可逆的ゾル-ゲル転移を示す。また粘土鉱物の一種であるアロフェンのヒドロゾルのように,静置するとゲル化するが,かきまぜると再びゾルに変わる等温可逆的なゾル-ゲル転移を示す場合もある。
→ゲル →コロイド
執筆者:妹尾 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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コロイド溶液ともいう.コロイド分散系において,分散相が互いに独立している場合をいう.液体を分散媒とする場合は,流動性を示すのが通例であるが,温度によって分散媒が固体になる場合には,固形のゾルもありうる.たとえば,赤ガラスなどは金,銅,セレンなどのコロイド粒子が分散した固形ゾルである([別用語参照]セレン赤ガラス).水を分散媒とするものをヒドロゾル,有機液体を分散媒とするものをオルガノゾルという.空気を分散媒とするものをエーロゾル(煙霧質)という.[別用語参照]ゲル
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…しかしこの三次元網目構造をつくる分子鎖の会合はそれほど強くないので,温度が高くなり分子鎖の運動が激しくなるとほどけて液体状態となる。これをゾルという。外力が加わっても分子鎖の結合がほどけてゾルとなり,放置すると再びゲルとなる。…
※「ゾル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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