ティリンス(読み)てぃりんす(その他表記)Tiryns

デジタル大辞泉 「ティリンス」の意味・読み・例文・類語

ティリンス(Tiryns/Τίρυνς)

ギリシャペロポネソス半島東部アルゴリス平野にある古代都市遺跡。現代名ティリンタ。ミケーネ文明盛期である紀元前1400年から前1200年頃に建てられた宮殿城塞の遺跡がある。神話によるとヘラクレス生地とされる。1884年から1885年にかけて、シュリーマンにより発掘された。1999年、ミケーネとともに世界遺産文化遺産)に登録された。ティーリンス。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティリンス」の意味・わかりやすい解説

ティリンス
てぃりんす
Tiryns

ギリシアの古代都市。ペロポネソス半島、アルゴス平野の沿岸に位置するミケーネ時代の代表的遺跡の一つ。1999年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。新石器時代の土器片も出土するが、初期青銅器時代に直径28メートルほどの円型の建造物が構築された(前三千年紀なかば)。後期青銅器時代のミケーネ時代(前1600以降)に入って、まず、堅固な城壁で囲まれた王宮中枢部が築造され(上部城砦(じょうさい))、ついで、その北側に中庭を包摂する中部城砦が増設され、ミケーネ時代末期には、さらに北に向かって全長140メートルにも及ぶ長大な下部城砦がキクロペス様式の城壁で囲まれた。紀元前1200年ごろ破壊を被り、焼き払われた。線文字B粘土板文書が数片出土している。伝承ではミケーネ時代の王としてプロイトスペルセウス、エウリステウスの名が伝わり、ヘラクレスはこのエウリステウスに仕えたとされる。前700年ごろ、ミケーネ時代の王宮跡にヘラ神殿が建造され、ミケーネ時代の祭壇が再利用された。1962年に発見された碑文から、ティリンスは前7世紀後半にはポリス社会としての国制を整えていたことがわかる。ペルシア戦争をギリシア連合軍とともに戦ったのち、前420年ごろアルゴスによって滅ぼされた。

[馬場恵二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ティリンス」の意味・わかりやすい解説

ティリンス
Tiryns

ミケーネ文明の代表的遺跡の一つ。ペロポニソス半島東部アルゴス湾に面した南北約 300m,東西約 100mほどの城塞遺跡で,後期青銅器時代,前 16~12世紀のもの。厚い堅固な城壁で囲まれ,東側に面して城門が開かれ,さらに内門を通って,中央部の大小二つからなるメガロン式王宮にいたる。床に描かれたさまざまな文様はミケーネ絵画の代表として知られる。 H.シュリーマン発掘調査を行なっている。 1999年ミケーネ遺跡とともに世界遺産の文化遺産に登録。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ティリンス」の解説

ティリンス
Tiryns

ギリシアのペロポネソス半島東北部,アルゴス平野のナウプリア湾に近いミケーネ文明の一中心地。前1400年頃壮大な王宮が営まれたが,約200年後破壊された。前480年頃は独立の小ポリスだったが,まもなくアルゴスが併合。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ティリンス」の解説

ティリンス
Tiryns

中部ギリシアにあるミケーネ文明の代表的遺跡
1884年ドイツの考古学者シュリーマンが発掘。前16〜前15世紀の宮殿・城壁・門などが残る。前14世紀ごろが最盛期。ミケーネ時代以後はおそらくドーリア人によって破壊され,ヘレニズム時代以後は廃墟と化した。宮殿は円柱のある広間・前室・主室に分かれ,壁画もあって,のちのギリシア建築の基本となった。

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百科事典マイペディア 「ティリンス」の意味・わかりやすい解説

ティリンス

ティリュンス

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