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テーヌ Taine, Hippolyte Adolphe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

テーヌ
Taine, Hippolyte Adolphe

[生]1828.4.21. アルデンヌ,ブージエ
[没]1893.3.5. パリ
フランスの批評家,歴史家,哲学者。エコール・ノルマル・シュペリュール (高等師範学校) に学んだが,自由主義的思想を危険視されて大学教授への道を断たれ,文筆活動に転じた。『批評・歴史論集』 Essais de critique et d'histoire (3巻,1858~94) ,『英文学史』 Histoire de la littérature anglaise (4巻,63~64) など,厳密な実証主義,合理主義の立場に立つすぐれた研究,批評を多くの雑誌に寄稿。 1864年パリ美術学校教授に迎えられ,『芸術哲学』 Philosophie de l'art (65~69) や『知性論』 De l'intelligence (70) を書いて,人種,時代,環境の三大要素を骨子とする批評方法論を展開した。未完の大著『現代フランスの起源』 Les Origines de la France contemporaine (76~93) がある。

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百科事典マイペディアの解説

テーヌ

フランスの批評家,哲学者,歴史家。コント,ミルらの実証主義の立場から文学を研究,作品の成立を〈人種・環境・時代〉の三大原動力から説明するなど,実証的文芸批評の確立に努めた。
→関連項目アンシャン・レジームゾラブランデス

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世界大百科事典 第2版の解説

テーヌ【Hippolyte Adolphe Taine】

1828‐93
フランスの実証主義哲学者,批評家,歴史家。アルデンヌ県ブージエに生まれる。スピノザヘーゲルコンディヤック,ミル等の影響をうけ,コント風の実証主義者であるとともに,すぐれた思弁家として,心理的事象も物理的事象と同じく〈驚くべき必然性〉を有し,複雑な現実の様相も分析と抽象によって単一な要素に還元され,この本源的原因から逆に存在のすべての形式を演繹(えんえき)的に説明しうるとする決定論をとなえた。彼の意図は,歴史学を心理学として成立させ,その研究方法を実証科学,とくに博物学との類似に求めることにあったが,そこから歴史発展の一般的諸条件としての〈人種,環境,時代〉の三大原動力や,その中におかれる個人の精神的能力の基本的要素としての〈主要機能〉の観念に達した。

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大辞林 第三版の解説

テーヌ【Hippolyte Taine】

1828~1893) フランスの歴史家・評論家。コントの実証主義を文芸評論に導入し、民族・環境・時代の三条件から人間および文芸作品を分析した。著「英文学史」「歴史及び批評論」「芸術哲学」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

テーヌ
てーぬ
Hippolyte Adolphe Taine
(1828―1893)

フランスの哲学者、批評家、歴史家。フランスの写実主義・自然主義文学に理論的根拠を与えた思想家。4月21日、アルデンヌ県ブージエに生まれる。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)に首席入学の俊秀であったが、彼のコンディヤック風な感覚論哲学が当時の講壇哲学の主流折衷主義と相いれなかったため学界の迫害を被り、大学教授への道をふさがれる。1864年美術学校で美学、芸術史講座を担当するまで論壇で活躍する。
 明確な哲学的方法による折衷主義、実証主義批判の書が『19世紀のフランス哲学者』(1857年刊、1868年改題)。『イギリス文学史』5巻(1864~1869)は日本の坪内逍遙(つぼうちしょうよう)らに至るまで世界の文芸思潮に影響を及ぼした。序論で、文学、芸術は人種、環境、時代の三大因子と作家、芸術家の主要機能によって規定されると説く。『芸術哲学』(1882)は美術学校の美学、芸術史講義の結実であり、フランスにおける革命の病根を過去に探る未完の『現代フランスの起源』(1875~1893)は保守的側面を代表する書である。ほかに哲学的、心理学的著作『知性論』(1870)がある。アカデミー会員。1893年3月5日パリで没。[横張 誠]
『平岡昇訳『イギリス文学史序論』(『世界思想教養全集 第9(近代の文芸思想)』所収・1963・河出書房新社) ▽広瀬哲士訳『芸術哲学』(1937・東京堂) ▽岡田真吉訳『近代フランスの起源』2冊(角川文庫)』

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世界大百科事典内のテーヌの言及

【ニーチェ】より

…たまに訪れる人があっても,結果として孤独感を深めることの方が多かった。ところが87‐88年ころになるとフランスのテーヌが好意的な評価を示し,デンマークのG.M.ブランデスが講義に取り上げ,再び顧みられる兆候が現れはじめた。しかしその直後89年1月ニーチェはトリノの街頭で発狂する。…

【美術史】より

J.J.ウィンケルマンは,晩年の労作《古代美術史》(1764)において,メソポタミア,エジプト,ギリシア,ローマなど,地域と時代によってはっきり整理された歴史区分と,それぞれの区分のなかで一定の発展形態を示す様式の原理に基づく最初の美術史を確立した。19世紀に入ると,ヘーゲル哲学の強い影響の下に,芸術発展の歴史を技術の進歩によって説明しようとするG.ゼンパーの《技術による諸芸術様式論》(1861‐63)や,芸術を民族,環境,時代の条件に還元しようとするH.テーヌの《芸術哲学》(1865)のような体系化の試みが進められる一方,19世紀後半,個々の作品をとくにその細部表現の特徴によって作者決定をしようとしたG.モレリをはじめ,B.ベレンソン,M.J.フリートレンダーなどの優れた鑑識家たちによる作品の〈戸籍調べ〉の進歩により,独立した学問としての美術史の基礎が築かれた。また,図版(版画)を組織的に利用することは,セルー・ダジャンクールの《モニュメントによる美術史》(1811‐29)で最初に試みられたが,世紀末には,すでに写真図版が重要な役割を果たすようになっていた。…

※「テーヌ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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