ナッツ(その他表記)nuts

翻訳|nuts

デジタル大辞泉 「ナッツ」の意味・読み・例文・類語

ナッツ(nuts)

クルミアーモンドなど、食用になる木の実。ナット
ナット2

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精選版 日本国語大辞典 「ナッツ」の意味・読み・例文・類語

ナッツ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] nuts nut の複数形 ) 堅い殻に包まれた果実の総称。胡桃(くるみ)、アーモンド、ピーナッツなど。堅果。また一般に、食べられる種子を総称してもいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「ナッツ」の意味・わかりやすい解説

ナッツ
nuts

クリやシイの実のように,成熟しても果皮が裂開しない堅い乾いた果実を植物学上ではナッツ(堅果)というが,利用上からみると,ナッツは一般に木の実と解されており,硬質の殻を有して,その内部の種子や仁を食用にする木本植物の堅果(クリ,ハシバミ,シイなど)や,核果(アーモンド,ペカン,クルミなど)をいう。また,種子を食用にすることから,ナッツはピーナッツなど草本のマメ科植物の種子などをも含めて,広い意味に用いられることが多い。

 ナッツは昔から世界各地で食用に供され,古い遺跡からは数多くのナッツが発掘されている。日本でも古くからカヤ,クリ,シイなどの実が好んで利用された。堅い殻に包まれ,水分含量の少ないナッツは腐敗しにくいため,古代人にとっては重要な貯蔵食品であり,飢饉時に備えるたいせつな備蓄食料であった。現在では世界各地に多種類のナッツが栽培され,食用のみならず油脂など食品工業の原料に利用されている。ナッツの多くは50%以上の脂肪と20%前後のタンパク質を含むほか,ミネラルやビタミン類を適当に含んでいるので,優れた食品といえよう。しかし,一般に主食としての利用は少なく,間食やデザートあるいは菓子などの原料として利用されることが多いが,デンプン含量の高いクリのようなナッツは,主食に準ずる食物として,南ヨーロッパや東洋の国々で古くから重要視されてきた。

 世界的に親しまれているナッツを地域的にみると,中近東からヨーロッパにかけては,仁が緑色のピスタシオやデザートによく利用されるアーモンドがあり,いずれも生育期の雨が少ない地域で生産されている。また,イタリアやフランスの南部地方では,カサマツの実もよく利用される。アジアでは,中国,朝鮮半島および日本などで,デンプン含量の高いクリチュウゴクグリニホングリ)が著名である。また,朝鮮半島ではチョウセンマツチョウセンゴヨウ)の実も古くから食用に用いられ,クリとともに冠婚葬祭時に不可欠であった。ぎんなんイチョウの実)などは中国と同様に,日本でも菓子原料や料理の材料に利用されている。北アメリカ原産のナッツにはペカンヒッコリーがある。古くからアメリカ・インディアンの重要食料の一つであった。カリフォルニア州などでは,ヨーロッパから導入したアーモンドやペルシアグルミなどの栽培が盛んである。南アメリカにはアマゾン川流域で生産されるブラジルナッツ,ブラジルの東部および北部で生産されるパラダイスナッツ,および勾玉(まがたま)状の特異な形をもつカシューナッツがある。カシューはブラジル原産であるが,中米を経由して旧大陸やアフリカまで広まり,現在では世界の熱帯地域で栽培がみられ,インドが世界一の生産国となっている。マカダミアは別名クイーンズランドナッツともよばれ,その名の示すとおりオーストラリア原産であるが,ハワイでの生産が有名である。近年はラテン・アメリカやアフリカの諸国で栽培が盛んになりつつある。

 熱帯の景観を特徴づけるココヤシの果実がココナッツであり,核内の胚乳を乾燥したものがコプラと呼ばれ,約65%ほどの脂肪を含んでいる。また,やや固まりかけた胚乳はココナッツミルクと呼ばれる。そのほか,熱帯地域には多くのナッツがあり,多量のデンプンを含むグネツムも住民の重要な食料である。なお,世界的に著名なナッツとしてはピーナッツ(ラッカセイ,ナンキンマメ)がある。南アメリカのボリビア原産と考えられており,ここから中南米に伝播(でんぱ)し,16世紀以後にポルトガルの探検家によって旧世界にもたらされて世界中に普及した。このように,ナッツとして利用されるものには,常緑性や落葉性の木本植物あるいは草本植物,被子植物と裸子植物というように,ひじょうに多種類の植物が含まれている。

 一般に食物としてのナッツは炒(い)ったものをそのまま,あるいはバターや塩で味付けをして間食や酒のつまみにするが,スープやシチューに入れたり,肉料理の詰物に利用することも多く,さらにナッツバターやペースト,あるいはアイスクリームなど菓子原料にも多く利用される。このほか,食用油や工業油および薬用油などの製造原料に利用するナッツもあり,多種多様なナッツの利用法が考案されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナッツ」の意味・わかりやすい解説

ナッツ
なっつ
nuts

殻に包まれた木の実をいうが、広義では乾燥果肉を利用するデートナッツや、豆やトウモロコシなどの草の実も含めていう。

 ナッツ類の食用部分は、植物が次代となる胚(はい)あるいはそれを養う胚乳から構成されており、植物の諸器官のなかでは脂肪やタンパク質、炭水化物に富み、栄養分がもっとも多く蓄積されている。そのうえ取り扱いが簡便で、乾燥下では保存がきくため、人類の生活とともに利用が始まり、有史以前から重要な食物であった。遺跡の調査結果によると、日本では縄文時代にはすでにクリ、オニグルミヒメグルミ、シイ、トチノキの実などが利用され、渋のあるものは渋抜きの方法も考案されていた。クルミ類の半栽培化や奈良時代以前に始まっていたクリの栽培化を除いては、野生からの収集利用が多く、トチノキの実やかちぐりなど、地方によっては神事とともに今日まで利用の諸方法が受け継がれているものもある。ヨーロッパではクリはローマ時代にはすでに栽培され、デートナッツ(ナツメヤシの実)やヘイゼルナッツ(ハシバミの実)は中近東での利用が古い。新大陸では中央アメリカのカボチャの種子(主としてミクスタ種、モスカータ種)はすでに5000年前ごろから利用されてきた。

 今日、市場を通じ日本で一般的に利用されているナッツは約15種、それに地方的特産品など小規模生産品を入れて合計20余種がみられる。これらのうち地方的に利用される種類を除き、一般化された種類のなかでは、クルミ、ピーナッツ、ギンナンなどの一部を除いては消費の大部分を海外からの輸入に頼っている。近年における一般所得の向上、食生活の変化、好みの多様化につれ、一方ではナッツの加工、包装、流通の便も加わって、ナッツ類は時や所に関係なくだれでも利用できるスナック食品として、その種類を増し、普及を早めてきた。加工ナッツの消費は大部分がそのままつまみとしてテーブル用に利用され、他はクッキー、洋菓子、パン、チョコレート、キャラメルなどにナッツの特徴を生かして利用されている。テーブル用のナッツ類の多くは、加熱ののちに塩加減をし、あるいはさらに香辛料で味つけして、包装出荷されている。加熱加工法には、ナッツを乾燥のまま炒(い)るドライロースト、食用油をまぶして炒るオイルローストおよびマイクロウェーブ処理の3方法があり、どの方法をとるかナッツの種類により、また利用目的別に処理される。

 クルミやハシバミの多いイタリア、マカダミアナッツの産地ハワイなどでは、各家庭でそれぞれに特有な殻割り器を備え、割りながら食べている。また、すりつぶして和(あ)え物とし、スライス片や粉砕片を、揚げ物の衣、料理の香りつけ、飾りなどに用いる。

[飯塚宗夫]


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百科事典マイペディア 「ナッツ」の意味・わかりやすい解説

ナッツ

木の実のこと。特に堅果の中の種子を食用とするものをさす。日本では古くからクリ,カヤ,シイ,クルミ,松の実,銀杏(ぎんなん)などが食用にされた。輸入品はおもに洋風料理や菓子材料とされ,アーモンド,カシューナッツ,ヘーゼルナッツ,ブラジルナッツ,ペカンなどがある。一般にタンパク質と脂肪に富みビタミン類を多く含む。
→関連項目アーモンド

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナッツ」の意味・わかりやすい解説

ナッツ
nuts

植物の種子や,核果の仁をさす。生物学用語としては「堅果」と訳すが,ナッツと表記するときは,食用になる木の実という含みが強い。普通,油脂を多く含み,硬い殻で包まれている。油脂原料となるものもある。堅果ではどんぐり,くりなど。核果ではピーナッツ。種子ではブラジルナッツなど。生食できるものが多いが,くり,ピーナッツのように火を通すものもあり,デザート用などに活用される。

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デジタル大辞泉プラス 「ナッツ」の解説

ナッツ

《Nats》MLB加盟のプロ野球チーム、ワシントン・ナショナルズの愛称。チーム名「Nationals」の略。

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栄養・生化学辞典 「ナッツ」の解説

ナッツ

 堅果類の総称.アーモンド,クルミなど.

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世界大百科事典(旧版)内のナッツの言及

【有用植物】より

…ウリ科に見られるように一年草の果実が果物として利用されることはないわけではないが,栽培植物となった果実利用型植物のほとんどは多年草(イチゴ,バナナ,パイナップル)か,果樹と呼ばれるような木本植物である。主として木本植物の種子を食用にすることも広く見られ,ナッツ類としてまとめられる。それらはやや硬く,しばしば油を含む胚乳や子葉を食べる。…

※「ナッツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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